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「味付たまご入りらーめん ¥780」@こうかいぼうの写真平日 14:00 薄曇り 先待ち8名 後待ち6名

ようやく念願が叶う日が来た。以前から訪問を待ち望む自分と、楽しみに残しておきたい気持ちの自分と、もし口に合わなかった時の失望感から逃げる自分と色々な思いが交錯する店への初訪問を決意したのだ。

勿論こちらの存在は知っていた。私が昔に買った「噂のラーメン2005版」にも登場している程の老舗人気店だ。ではなぜ今になって初訪問を決意したかと言うと第一には豚骨魚介系のようなドロっとしたスープが苦手なのと、煮干し系のような塩気の強いものが得意でないのでイメージで勝手に避けてきたが少しだけ豚骨魚介系に免疫がついた事だ。それともう一つに、あるユーザーさんからのお薦めがあった事が一番大きな要因かも。

そのお薦めを頂いたのも五月下旬の夏前の時期でかなり前だったが、こちらのラーメンを食べるなら涼しくなった最高の季節に自身の体調も最高のコンディションで挑みたいと敬意を表するが為に長引いてしまっていたのだ。

そこで本日は目覚めた時にアルコールが全く残ってなく昨夜の会食も和懐石と胃袋も疲れておらず睡眠時間もたっぷりで十年に一度あるかないかのグッドコンディションだ。

午前9時、まずは身体を目覚ませるために水と果物を摂取してジムで軽く汗を流す。午後1時前に自宅へ戻り昼食抜きで身支度し門前仲町に向かう。この時点で気持ちは満ちているが胃袋は空っぽだ。こんなにラーメンを欲しているのは記憶にない。

乗り継いだ東西線で最寄り駅に着いた。首都高の下をくぐり大通りに出ると、初めてだがそこが待望のこちらだと分かる人だかりを遠くから見つける。はやる気持ちを抑えて店先へ。

大きな白い暖簾に屋号が描かれ、外観からも観光客だけでなく地元に愛されているのが伝わってくる。並びに続いてから15分で中待ちに。店内入った瞬間に煮干し香が優しく胃袋を刺激してくる。券売機はなくメニューを手渡しされ品定めをするが、ご家族連れの方には券売機の前で焦らずにすむ配慮がこの店の全てを物語っているようだ。

中待ち席の横には多種類の雑誌が置かれ、待ち客も大切にするゲストファーストだ。皆さんは接客の良さを承知だろうが、初めて来て実際に肌で感じた。

店内待ちも10分足らずでカウンターへ。落ち着いた管理職風のサラリーマンに混じり地元のおじさんもいてホッとする。この年齢層なら油まみれのガッツリ系でないことを確信した。

着席後は3分で我が杯が到着した。美濃焼の多用丼には呉須で大きなタコ唐草が描かれており、その中の姿は私の持っている14年前のラーメン本の姿とは随分と変わって進化しているように見えた。勿論美味しそうに映った。

まずは背黒イワシの銀皮が光る砺茶色のスープをひとくち。レンゲが液面に触れた時に対抗を感じず不意を衝かれた。豚骨魚介イコール粘度があるものだと思っていたからだ。確かに何軒かの豚骨魚介スープにサラリとしたものもあったが見た目からそれらはサラッとしているのが分かった。しかしこちらのスープは面構えはどっしりして重たいスープを装っているが実は不純物を感じさせない軽やかさだ。

不思議な気持ちのままスープを飲んでみると先行してやってくるのは煮干しの香りと苦味だ。この手のスープに感じる第一印象はどれも同じでこちらのスープも御多分に漏れず煮干しがアピールしてくるが明らかに他とは違う何かを感じた。ひとくち目には分からなかった何かが後で気付く事となるが、それはしばらくあとの話だ。

麺はストレートの中細麺で自家製麺ではないようだがオリジナリティ溢れる良麺だ。箸で掴んだ時のコシとハリからは中細麺らしからぬ重量感があり、食べずともモッチリするのが想像できる。いざ口に運ぶと芯のあるパスタのような口当たりで持ち上げたスープと共に口中を暴れまわりモチモチとした食感が楽しいが奥歯で噛んだ瞬間に対抗をやめ歯切れの良さを現す。

正直言うと神奈川淡麗系のスープは好きなのだが自家製麺に多くある噛み逃げする麺が今ひとつ好きになれず、こちらのような歯切れの良い麺に出会ってからは圧倒的に大好きな麺の系譜なのである。衝撃的な麺のうまさに箸が止まらなくなりそうなので心を落ち着かせて具材にすすむ。

焼豚は豚肩ロースの煮豚型焼豚で肉の持ち味を閉じ込めながらもしっとりと仕上がっている。肩ロースというひとつの部位なのに筋で別れた赤身の肉質や旨みの違いを味わえ、筋の集まった固くなりがちな部分も、すじ煮込みのようにとろけくずれる。たった5cm 四方の焼豚の中に詰まった肉の醍醐味に感服してしまった。

追加した味玉も好みの熟成感でうれしい。美味しいでは済まされず、巷にあふれる「卵本来の旨みを大切にしています」みたいな調理の手を抜いたような色だけ玉子ばかりでない事がうれしくて仕方ない。高級卵を使わなくても、こんなに美味しい味玉が出来ることを知らしめたいと思った。もしこちらも高級卵を使っていたらすみません。

メンマは他のメンツに負けないようにか極太で存在をアピールしているが実は繊細で柔らかく仕上げてある。と言いたかったのだが、かなり強情で頑固者だった。噛めばほどけるものもあったが大半は繊維が残った。固さを知ってか最大のメンマには縦の半分辺りまで切り込みが入れてあり心づかいを感じたが、それでもかなり固かった。

薬味の白ねぎは香りと食感のアクセントを与えてくれたが海苔は香りが乏しく彩り役だけに終わる。

中盤になってラーメンを食べていて過去に思ったことのない衝動に襲われた。初めてラーメンと一緒にごはんを食べたいと思ったのだ。周囲にはラーメンライスを日常としている人もいるが不思議に思っていたが今回は違った。

その理由は全てを食べ終え普段の豚骨魚介系なら塩分過多でスープは残すのだが、こちらの優しい塩気のスープは飲み干せた。いや飲み干したいと思った。その時にやった分かった。ひとくち目に飲んだスープに感じた違いは他店の煮干し系には無い香ばしさだった。香ばしいと言うよりは焼き魚を食べているようなロースト感やグリル感だった。焼干しを使っているのかまでは分からないが、焼き魚に白いごはんが欲しくなるのは当然の反応で本能的に身体が欲したのだ。

こちらのスープは味噌汁のように毎日でも飲めるものを心掛けていらっしゃるようだが身体には十分に伝わっていた。私の感覚が少しずれているので焼き魚と思ってしまったが味噌汁と気持ちは同じだと勝手に解釈した。

今回の初めての訪問で苦手な豚骨魚介系の煮干し感を克服するキッカケになった気がした。まさに私にとって今日が煮干し革命だ。ニボリューションが叶った日だ。と思ってはみたが、このラーメンを超えるラーメンがあるとはとても思えず哀しい気持ちにもなった。

これから出逢う豚骨魚介系のラーメンを食べるたびに、こちらと比べてしまうのだろうなと思ってしまう一杯でした。

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