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「凛々しい特製地鶏中華そば ¥980」@らーめん凛々の写真平日 晴天 10:50 先待ち1名 後待ち1名

街路樹の紅葉が冬の風に飛ばされまいと耐える姿に自分自身を重ねてみる。正直が仇となり誰かを傷つけてしまう。

〝そうだ、知らない街へ出かけよう〟

こんな想いに応えてくれるのが本日の舞台となる拝島駅だ。駅周辺で検索をかけるとすぐにこちらの店が挙がってきた。ポイントも高く興味をそそられたので皆さんの写真を見てみると、今っぽさを表現した中年層には縁遠く馴染みにくい印象に見えた。屋号にも不思議なワードが散りばめられた中田ヤスタカさん風である。

普段なら避けてしまいそうな店だがRDBのお店情報の備考欄に書いてある「ラーメンでもスープ割あります」の言葉に心づかいを感じ初訪問を決意した。

自宅からこちらへ行くには新宿駅から中央線のルートと高田馬場駅から西武新宿線を使う二つのルートが考えられるが、朝のニュースで中央線に一部運休と知らされていたので安全策を取ってひとまず高田馬場駅に向かった。ちょうどのタイミングで急行 拝島行きが先発のようで目の前の電車に飛び乗った。

朝の時間帯と言えど西武新宿線の下り電車は乗客も少なくのんびりと私を見知らぬ街に運んでくれる。玄関を出て一時間程で拝島駅に初上陸を果たした。2社4路線が乗り入れているようでホームの数は多い。敷地も昭島市と福生市にまたがっているようで板橋駅のように区境にある駅もあるが市境の駅も珍しく思う。

駅の北口を出て線路沿いを歩くと川のせせらぎが聞こえてくる。その風情のある川を越えるとビルの一階に裏原宿にありそうな看板のこちらを見つけた。開店前から人が並ぶ人気店のようだ。店先の簡易ベンチに座り手書き看板のメニューを見ながら本日のお題を検討する。

トップを飾っている地鶏系にしようと思い味玉だけを追加しようと決めておいた。定刻よりも5分も早くオープンとなり二番手で入店し他ではあまり見かけないテンキー入力方式の券売機の前で戸惑ってしまった。購入したいメニューの横にある数字二桁の番号を押すだけなのだが追加したい味玉の番号が書いてないのだ。後列も詰まってきたので仕方なく味玉が入っていそうな予定外の特製を発券しカウンターに座ろうと振り返った。

振り返ったその先には、たじろぐ程に乙女チックな世界観であふれていた。ピンクのカウンターにピンクの冷蔵庫と私の知らない世界に迷い込んでしまったようだ。しかし後列の客にはスーツにネクタイ姿の専務クラスの風貌の方がそのカウンターに座っている。私にとってはこれこそが〝ゆめかわ〟そのものだ。しかしこのカオスの世界は見たものにしか分からないであろう事象なので書き記すのはやめておこう。

そんな世界観に引き込まれながら店内を物色するとシンプルな調理場には両手の広東式中華鍋でワンロット1杯ずつの麺茹でが作業が行われている。これならばワンロット5杯のような大量生産と違い、盛り付けの待ち時間もなくなり渾身の一杯が作れるはずだ。

そんな事を有難く感じながら待つ事8分ほどで我が杯が到着した。派手なオリジナルの高台丼の中の姿はまさに〝萌え〟の表情だ。ピンク色のチャーシューをセンターに不思議な具だくさんのファクターがてんこ盛りに、萌え萌えキュンとなった。

正気を取り戻して鴇浅葱色のスープをひとくち。目の前に現れた瞬間に丸鷄由来の香味油の芳醇な香りを解き放つ。スープをすくったレンゲが口元に近づく距離と比例してその香りも豊かさを増しながら舌の上を転がる。スープなのに玉のような感覚で口中を転げ回り気がつくと口内を隙間なく鷄油の香りに占拠されていた。その油膜と共に感じる一番の味覚は甘味だった。果実由来というよりは砂糖や味醂からの重ための甘味が特徴的なスープだ。醤油ダレは穏やかに存在しているがキレよりもコクが優先した鷄清湯のスタイルを貫いている。

麺上げまで120秒ほどの中細ストレート麺は低加水ならではの歯切れの良さを残し、硬めながらも香味油を潤滑油として滑らかさも加え食べ手を飽きさせない。歯切れの良さから現れる小麦の香りの心地良さに箸が止まらなくなりそうだ。この麺の表情の変化も見たくてスープに放置したまま具材に進んでみる。

特製だけに盛りだくさんの具材の中でも、ひときわ光り輝いているロゼッタカラーの豚肩ロースのレアチャーシューから。厚みを均等に仕上げるために電動スライサーで切り分けられた焼豚は非常に儚い味付け。肉質の良さがカバーしているがもう少しマリネ液にメリハリを効かせた方が食べやすいと感じた。しかも四枚もの大盤振る舞いなので最後には食べ飽きが生じてきたのも事実。鷄ムネのレアチャーシューも同じく食感は良いが味付けが寂しい。

期待していた味玉も同様に普通の半熟ゆで卵を食べているようだった。口で噛んだ途端に黄身が流れ出してしまいスープを汚した時は残念で仕方なかった。こちらの店の醤油ダレには甘味が付いていそうなのでしっかりと漬け込んだ味玉を食べてみたいと思った。

ここからの具材が不思議ちゃんの登場だがまずは鷄挽肉のツミレで味付けにはスパイスなどの香辛料を効かせて良いのだが、推測ではあるが先程の鶏ムネ肉のレアチャーシューにならない端の部分を足してあるのか肉質がパサつき食感の悪さをさらけ出している。

もうひとつの不思議ちゃんはメンマの代用なのかは決められないが緑色のものが複数添えてある。得体が知れず恐る恐る口にしてみても明確な味が伝わってこない。勇気を出して噛み切ってみるとメンマには無い大胆な歯ごたえが歯茎を通じて伝わってきた。その時にやっと分かった。ラーメンの中にいたので正体不明だったが山の中の温泉旅館に行くと朝ごはんなどで出てくるあの山菜だったのだ。それは〝山くらげ〟と呼ばれる干した山菜を戻して調理されたものだ。さっぱりとした味わいと歯切れの良さが特徴なのでラーメンとの相性の良さには心から驚いき、見た目の不思議さだけで判断した愚かな自分を責めた。

薬味の三つ葉は鷄清湯スープには欠かせない薬味になっているが丸鷄由来の滋味と三つ葉の滋味がぶつかり合いしつこく感じる時もある。大判な海苔は質が高く動物系主体のスープの中で磯の香りを発揮して存在感を示す。

具材を味見して麺に戻ると麺肌のグルテンが溶け始めた麺はスープを吸って艶やかな表情に変わっていた。華やかさが増した分、スープの甘味も吸ってしまい終盤には喉の奥が渇くほどの甘さが前面に出ていた。

甘さを出したスープに対しての具材の薄味だったのだろうかと思うほどスープと具材の両者の確執めいたものを感じてしまう一杯でした。

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