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「あっさり和風味玉中華そば ¥850」@浜屋 五反田店の写真日曜日 晴天 14:40 先客10名 後客 2名

この後、ハリウッド女優〝アンバーハード〟に遭遇するとは思ってもいなかった。

本日は六本木での20時からの会食の前に遅めの昼メシの候補を探そうとRDBに向き合う。日曜日の午後2時過ぎとなれば昼の部終了の時間が迫っているので、慌てて検索をかけるとBMしている店の中にこちらがあった。直ぐに自宅を出ればギリギリ間に合いそうなので急いで支度を済ませ山手線に飛び乗った。

12分ほどで着いた五反田駅は訪れる機会がほとんどない未知なる駅だ。新たな発見を求めて五反田駅周辺を散策できるかと思ったが、こちらの店は賑やかそうな駅前から背を向けるような場所にあった。

東口を出て桜田通りを進むルートは華やかな繁華街の夢の世界から抜け出して、オフィスやマンションの立ち並ぶ現実へと引き戻されるような感覚を覚える。そんな現実の世界を10分ほど歩き大通りから側道へと入ると、再び非現実的なエリアが現れた。小さな飲食店が点在する隠れたスポットにガラス張りに製麺室の見えるこちらを見つけた。

チェーン店以外では珍しい自動ドアを開けて店内に入ると、小さな子供たちが走り回っている。その光景はまるで、ここが都心ではなく地方のラーメン食堂のように和やかな時間が流れているようだ。慌てて来たのでメニューを下調べしてなかったが閉店間際だったので後客もなく、じっくりと券売機で品定めをする。

〝濃厚〟などの苦手な文字が並ぶ中に〝あっさり和風〟という実に中年向きな言葉を見つけ、迷うことなくボタンを押した。もちろん大好物の味玉だけは逃さぬように追加した。入口そばのカウンターに腰を下ろして店内を見回す。

先ほど走り回っていた子供たちは奥の方へと消えていったので私のいるカウンターからは見えないがテーブル席もあるのだろうか。かなり広そうな店内と思われるには他にも理由がある。それは怒涛の五人体制だったからだ。カウンターだけならそんなに人員も必要はないはずだろうと思っていたら、奥から子供たちを連れた家族連れが出てきたので座敷かテーブル席が設けられているのだろう。

そんな店内を飾るウンチクには有りがたい事に〝無化調〟の文字も見られた。予期せぬ無化調の知らせに、とても穏やかな気持ちで待っていると着席して8分ほどで我が杯が到着した。ラーメン鉢には珍しい、菊彫りされた祥瑞の絵付けが美しい多用丼の中の姿は高貴な器に反して素朴な印象を受ける。無頓着にも思われる盛り付けがそう思わせるのだろう。

まずは乳化した桑茶色のスープをひとくち。先立って感じるのは動物由来のまったりとしたコラーゲンの粘りと魚粉のザラザラとした舌触りだ。その食感のあとに味覚として最初に現れるのは節の香味で、魚粉による香りも大きいが出汁からも鰹節や煮干しなどの魚介の風味が詰まっている。スープの中に独特の匂いを初動では感じたのは豚骨由来のものと思われる。カエシは出汁に負けないよう強めに調合してあるが、それ以外の糖分や非天然由来の旨味成分を足してないのでシンプルな構成にまとまっている。

入口に製麺室があるように自家製で打たれた麺は平打ちのストレート麺で手揉みはされていない。なので見た目は稲庭うどんのように繊細にも見える。その麺を箸で持ち上げるとズッシリと荷重がかかり、加水率の高さを感じる。口に運ぶと麺肌はツルツルと滑らかだが、スープの魚粉のザラつきが口当たりの良さの邪魔をしているようだ。しかしそのザラつきがスープをしっかりと絡めているので痛し痒しで仕方ないかと。麺上げまで240秒ながらもコシを残した麺は奥歯で噛みつぶすたびに小麦の風味が溢れて出す。モッチリとした歯応えも愉快で、スープのザラつきも徐々に気にならなくなっていた。

具材は豚肩ロースの焼豚が大判でドンと鎮座している。スープとの相性を考えてか穏やかな味付けで豚肉本来の旨みを感じさせてくれる。脂身の部分は甘みを引き出して柔らかさも残してある。一方のロースに近い赤身の部分は筋肉の繊維をハッキリと感じられる歯応えで肉々しい。麺を巻いて食べるような高等なテクニックは使えないが焼豚単体でも旨い焼豚だ。

追加の味玉は大人しく熟成度も低い。半熟のゆで卵のようだが力強いスープの中では口直し役として存在しているようだ。ただ好み的には、あと一日漬け込んで黄身の水分が抜けて味玉を欲してしまった。

メンマは大きさは不揃いだが、それが食感の違いを生んで口の中の予定調和を崩してくれる。また素朴な味付けも程よく麺に馴染んでアクセントを付ける。

薬味は青ねぎの小口切りだが閉店間際の来店だったせいもあり鮮度は今ひとつだった。切り口が乾燥して口当たりも悪く、ネギの香りも飛んでしまっていた。黒々とした十字4切の海苔は香りと口溶けのどちらも良く品質の高さと保存の良さが表れている。

麺の美味しさが誘導してくれたので麺と具材は、あっという間に完食していた。無化調のスープを飲み干そうとレンゲですくってみたが魚粉が大量に浮遊していたので躊躇してしまった。閉店前なので後客も少なく空席もあるので、魚粉が沈殿するのを待たせてもらおうと3分ほどスープを放っておいた。すると見た目でも分かるほどにスープの液面が落ち着いてきた。そのスープの上澄み部分だけをレンゲですくって飲んでみると、ザラつきなど皆無の、まったりと乳化したダブルスープが潜んでいた。私にとっては明らかに、こちらのスープが好みだったので魚粉の存在が残念で仕方なかった。やや強めの塩気を感じながらも丼の底に沈殿した魚粉を荒げないように上澄みだけを飲み干してレンゲを置いた。

〝あっさり和風〟の意味が今ひとつ分からないラーメンだったが自然な旨みを堪能できた。しかしこの後、会食で訪れた六本木の炉端焼き店のカウンター隣席にアンバーハードが座っていた衝撃は鮮烈すぎた。〝あっさり和風〟のあとに〝こってり洋風〟が待ち構えているとは人生とは不思議なものである。しかしこの両者に言えるのは、どちらも自然な美しさだったと感じる一杯でした。

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