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「味玉醤油そば ¥850」@鶏そば 志いなの写真平日 晴天 10:40 待ちなし 後客1名

〝おっちょこちょい発動〟

急遽ではあるがコチラへの初訪問となった。実は新宿御苑駅近くのラーメン店(あの行列人気店ではない)を訪ねようと自宅を出たのだが、開店時間を間違えて一時間も前に現着してしまった。もちろん行列があれば続いて並んだが、誰一人いない。このまま先頭で待機しようかとも考えながらRDBで、近くの人気店を探していると偶然にもコチラがヒットした。

お店情報を見てみると鶏出汁を中心にしたメニュー構成で、現在地から歩いても数分の距離である。開店時間も11時と早くありがたい。そこで予定していた店は二軒目にする事にして、コチラへの初訪問に変更した。

花園公園沿いの通りを歩いて進むとガラス張りの店先にロールスクリーンが下がった店を見つけた。幸い行列もなく先頭にて待機する。その間にも本日のお題を決めようとメニューを検討する。店頭には坦々麺のお知らせが貼ってあるが、好みの醤油系で挑もうと心を決めた。

定刻になり後列は伸びないままロールスクリーンが上がりオープン。〝WE ARE OPEN〟の看板が示すようにオシャレな外観だ。店内に入り券売機の前で決めていた心が揺らぐ。ヘッドライナーを飾るのは鶏塩系のラーメンだった。鶏白湯などのメニューもあるが、イチオシらしき塩系と、好物の醤油系との二択で悩む。散々と迷った結果、本能が醤油系のボタンを押していた。それも味玉付きのボタンを。

座席指定もなく好きなカウンターに座り店内を見回す。外観同様にオシャレな内装だが、温もりがありオジサンでも居心地が良い。今回は厨房に面したカウンターに座ったが、壁沿いの席や奥にはテーブル席も設けてある。調理場内は手入れが十分に行き届いていて気持ちが良い。特に汚れがちなスープ炊き用の寸胴鍋までピカピカに磨け上げられている。そんな清潔感あふれる店内を二人体制で仕切っている。

お二人の手際の良さをカウンター越しに眺めていると、着席して5分程で我が杯が到着した。その姿は口縁に赤いラインの入った、反り返るような切立丼の中で美しい景色を映し出している。液面に散りばめられた鶏湯の粒子が、冬の星空のように煌めき輝いている。シンプルなビジュアルがさらに上品な装いに見せている。

まずは檜皮色のスープをひとくち。星空のような液面のスープをレンゲですくうと、鶏と生姜の香りが立ち昇ってきた。タイトルに生姜は謳ってないが、かなり生姜の香りが主導している。いざ口に含むとじんわりと優しい鶏ベースの旨みが響きわたる。香りでは感じてる生姜は、辛味などの刺激は全く与えずに香りを付けるだけに徹しているようだ。ベースの鶏出汁も敢えて野趣や個性を拝借した構成に思える。地鶏100%のような強いコクもなく、鶏油もサラリとしてクドさを微塵も感じさせない。カエシも出汁の旨みや風味を損ねないようにスープに輪郭を描いている。インパクト重視の鶏出汁とは別次元のスープに取り憑かれてしまった。

すでに脳は幸福な興奮状態にトリップしているので、落ち着いて麺を食べてみる。博多ラーメン以外では最速ではないかと思われる、麺上げまでジャスト20秒の速攻麺。箸で持ち上げると低加水ストレート細麺の形状が露わになった。箸先からまっすぐに垂れ下がる麺を躊躇なく啜り上げると、先ほどの生姜香を伴って滑り込んできた。小麦の香りと生姜を感じるスープの香りが一体となり口の中に花が咲く。この麺は塩分で食べるのではなく、香りを楽しんで食べる麺のようだ。本来は得意ジャンルではない細麺なので、もっちりした歯応えはないが噛めばグルテンを感じられる歯切れの良さはある。咀嚼から逃げようとする麺質ではないので、好みから大きく外れる事はなかった。

具材のチャーシューは醤油系には鶏もも肉のローストタイプが乗っている。しっかりと皮目の表面をバーナーで炙り香ばしさを出している。味付けもボヤけないように醤油ダレを利かせた味わいも美味しい。そして何よりも嬉しいのが厚切りの肉厚だ。同じような鶏ももチャーシューを供する店はあるが、こちらのチャーシューよりも半分以下の薄いスライスだ。やはり肉の醍醐味はテクスチャーに依るところが大きい。歯応えとは歯先で感じるものではなく、根元の歯茎で感じるものだ。噛みしめて溢れる肉汁や、肉々しい食感は薄切りでは表現できない感覚だ。薄切りチャーシューが二枚あれば豪華には見えるかもしれないが、肉の本質をついた厚切り一枚での提供の店側の狙い通りに術中にはまってしまった。

追加した味玉にも愛情を感じてしまった。常温に戻してあったり、湯煎で温めて直す店は数多くあるが、こちらのように温め直しをタイマーで時間管理している店を私は知らない。ゆで麺機のテボの中から 2分45秒で引き上げられた味玉は、しっかりと黄身の中心部まで温かくなっている。半熟の黄身を凝固させない目安が、その時間設定なのだろう。もちろん味付けも素晴らしく熟成感もある。それの証拠に白身がグラデーションではなく、均一に醤油の色素が浸透している。矢継ぎ早に仕込んでは、この色合いは成し得ない。

鶏出汁には定番と思われる穂先メンマも丁寧な下処理が出ている。柔らかな中に少しだけ歯応えを残した仕込みで、発酵食品特有の香りも残してある。本当はちびちびと楽しみたかったが、気が付けば一気に食べてしまっていた。少しだけ寂しい食感の麺との共演を楽しむ事なく胃袋に落としてしまった。

薬味は青ネギの小口切りでクセを落とすために丁寧な、さらしネギにされていた。水にさらされる事で穏やかな香りと食感となり、スープに過剰な香味を与えてこない。青みは初見では、ほうれん草に見えたが小松菜が添えられていた。小松菜としては非常に柔らかく茹でられていたので青菜の香りや茎部分の歯触りは失われていた。何かしらの理由があっての茹で加減だと思うが、その狙いは理解できなかった。

このラーメンに物足りなさを感じる若者もいるとは思ったが、麺の好み以外は素晴らしい世界観のラーメンだった。おっちょこちょいがキッカケだったが、ほかのスープも試してみたくなる店に出会えた。私の後客がオーダーしていた塩系ラーメンを横目に見ながら、再訪を誓った一杯でした。

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