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「味玉そば 黒だし ¥900 +切り落としチャーシュー¥150」@八雲の写真平日 晴天 13:45 外待ちなし 中待ち7名 後待ち12名

今月は関西遠征や苦手ジャンルの新店訪問などで身体に疲れを感じている。そこで本日は〝味覚調整〟を兼ねて久しぶりにコチラへの再訪を決めた。再訪を決めた理由はそれだけではなく、今年の桜は開花予報が早いので目黒川が混み合う前に行っておきたいのも本音だ。

お昼過ぎに目が覚めたが昼のピーク時は避けようと思い、午後1時半に家を出た。歩いても10分程の距離を向かっていると山手通りと246の交差点近くにラーメンの提灯を見つけた。反対車線からだったので詳細は不明だがRDBにも出ていない新店のようだ。いつかの訪問を思いながら進んで行くと、まだ静けさに包まれた目黒川沿いの店に着いた。外待ち席には並びはないが中待ち席は満席なので、一旦は店外での待機となる。すると食事を終えた先客が一気に店を後にした。

程なくバッシングも終わり中待ちに昇格。しかも中待ち三番手と早い昇格となった。中待ち席から店内を見渡すと、本日の客層は若い方が中心で最高齢は私のようだ。場所柄なのかネクタイ姿のサラリーマンはおらず、お洒落なスタイルの若者が多い。そんな客層にもマッチした内装の店内を本日は四人体制で回している。そんな安定したオペレーションから生み出させるラーメンは順調に仕上げられ客席の回転も良い。中待ちも10分足らずでカウンターに昇格。

本日は、ここ二回ほど品切れに泣かされた大好物の切り落としチャーシューも残っていたのでボルテージは最高潮だ。そんな興奮状態の中で待つこと6分で我が杯が到着した。その姿は目黒銀座時代の器よりも洗練された白磁の反高台丼の中で変わらぬ景色を映し出す。器の屋号を見なくてもココだと分かる美しい盛り付けだ。

まずは今回は黒だしを選択したので醤油色の強い柿渋色のスープをひとくち。目の前に現れた時から魚介系の香りがじんわりと立ち昇っている。こちらの特徴でもある大きなレンゲでスープを口に運ぶと、さらに魚介系の香りの花が咲く。中でも鰹節の香りが真っ先に口の中に広がる。力強い荒節のコクや、本枯れ節の厚削りのキレのある旨みが重なり鰹だしだけでも複雑な旨みを作り出している。動物系のガラ類は使っていないと店側の説明にはあるが、丸鶏主体のスープにありがちな独特のクドさを全く感じさせない。それは鶏油のコクに頼らないスープの構成を考えさせられる。丸鶏や豚骨に求めるのはコッテリとした油分ではなく、スッキリとした動物系の旨みだけのような気がする。雑味やエグ味を出さないように沸騰させずに炊かれたスープでも、かなりの油分は抽出されるはずだ。しかしその油脂を極力排除して出来上がったスープには鶏油の力を借りなくても十分なコクが存在している。それがシンプルながらも奥深い味わいを生み出しているのだろう。カエシの醤油ダレも黒だしなので塩分が強そうに見えるが、まろやかな醤油の甘みや酸味を伴った穏やかな醤油感が角を立てずにスープを引き締めている。

続いて麺を食べようと箸で持ち上げると、麺からは湯気が上がっている。周囲を見ても、いずれも同じ光景が広がりスープの熱さを表現している。麺上げまで60秒の中細ストレート麺は白っぽい透明感が特徴的。切刃のエッジを感じさせない程度に膨らんだ麺肌はハリがあってコシもある抜群の麺ディションだ。その一番良い状態で提供された麺を啜り上げると、初動では甘みが広がる。それはスープの甘みと小麦の甘みが一体となった得も言われぬ旨さなのだ。どんなに強く啜ってもカンスイの匂いなど感じない。自家製麺でないにしろ、この麺を選ばれたセンスにも脱帽である。ラーメンに求める要素の一つに啜り心地というものがある。その大切な要素を完璧に与えてくれるのは都内屈指の人気店の証しでもある。甘みに伴った鰹だしの香りも鼻腔をダイレクトに刺激する。そこに加わるカエシの香味も深みを与える。それの繰り返しの虜になってしまっては箸が休まる事はない。やはり本日も口当たり、歯応え、喉越しの三拍子が揃った麺の安定感には恐れ入った。

具材はデフォルトのチャーシューからいただいてみる。流行りに目を背けたような吊るし焼きの広東式叉焼のスライスが二枚。レアチャーシューとは違った力強い食感が肉を食べてる事を実感させてくれる。吊るし焼きと言っても実際にはスチコンでの調理かと思われるが、表層に塗られた蜜ダレのフルーティな甘さが赤身本来の旨みを増長させる。やはり赤耳焼豚ならではの味わいに打ちのめされた。

次に待望となる約三ヶ月ぶりとなる切り落としチャーシューをいただく。まずは何と言ってもデフォルトにはない肉厚の迫力。形はいびつながらも頬張った時の存在感は、スライスされた焼豚には出せない力強さだ。端切れではあるので中心部よりも肉の旨みは抜けているが、それを補う脂身のコクや蜜ダレの塗られた赤耳部分の表面が多いゆえの甘みの強さがサポートしている。不揃いではあるがこれが三枚で150円とは頼まなくては損をした気分になるような切り落としなんて呼ぶのは失礼な程の、ご褒美チャーシューだ。なのでいつまでも目立たぬように券売機の隅に隠れていて欲しいと心から願う。

追加の味玉は前回同様に今回も、いつもよりも下茹でが硬く半熟ではなかった。もちろん固茹でとまではいかないがトロリとした食感ではなく残念。温度も温かくないので仕込みや温め直しを変えたのだろうかと思ってしまう。

もう一つ、過去にはなかった具材があった。それはメンマだ。近年は太メンマを採用されていて大胆な食感をアピールしていたが、今回は細メンマに変わっていた。実は以前から細メンマを切望していただけに嬉しいサプライズだった。嬉しいのは形状の違いだけではなく願っていた繊細な食感も再現されてあったことだ。細身のながらも引き締まった食感からの、歯を立てれば解ける繊維質の感覚がしなやかさを生んでいる。味付けも穏やかで麻竹の発酵臭が残してある。たしかに太メンマは食べ応えやインパクトはあるが、麺との一体感となると少し疑問だ。しかしこの細メンマならば麺と食べても、叉焼と食べても新たな食感の組み合わせを生み出してくれる。個人的には今後も細メンマであって欲しいと勝手ながら願う。

薬味の青ネギの小口切りは九条ねぎらしさを発揮する香りとセンシティブな食感は、さすがのブランド葱だけある。今回は葉先に近い細めの部分が多く刻まれていたので、余計に優しい香りと食感に思えたのかも。

黒々とした十字8切の海苔は今回も抜群の安定感。舌の上に乗った瞬間に香る磯の風味と口溶けの良さは高級海苔は勿論のこと、保存状態の良さがなければあり得ない代物。

早食いの性分なもので麺の熱変化を楽しむ事なく平らげてしまった。スープも残すことなく飲み干して終わりを迎えた。今回は細メンマの嬉しいサプライズもあったが、今まで安定感のあった味玉の仕上がりが残念ではあった。これでいつものネットリと適熟した常温以上の黄身の味玉ならば過去最高点になっていたかも知れない。

そんな多少のケチをつけたくなるような私の理想に最も近いラーメンだけに期待や願望が上がってしまう一杯でした。

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