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「あっさり ¥700+味玉 ¥100」@長尾中華そば 東京神田店の写真土曜日 晴天 10:50 先客3名 後客なし

〝花のお江戸で錦を飾ろうツアー〟

今週は東京進出組に狙いを絞って未訪問店を中心に店めぐりをしている。昨日までは「十二分屋」「初代葱寅」「煮干乱舞」と名だたる地方の雄を巡ってきた。そんな中で本日は青森津軽を代表する人気店の東京初出店のコチラへの初訪問を決める。

RDBのお店情報を見てみると昨年の夏にオープンした新しい店のようだ。メニューには得意ではない煮干しの文字が踊っているが、青森を代表するラーメンならば仕方ないと腹をくくった。

最寄り駅は淡路町駅のようだが、自宅からはアクセスが悪いので半蔵門線で神保町駅へ向かう。11時開店前の現着を目指して10時過ぎには家を出た。予定通りに着いた休日の神保町界隈は人通りも少なく寂しい街並みを、小川町交差点方面に歩いていくと昔の記憶が蘇った。

普段はあまり来ることのない場所なのだが何故か見覚えがある通りにだった。たしか以前にもラーメン屋があったような記憶があるので、後で調べてみるとやはりそうだった。15年前当時はまだ珍しい無化調を謳ったラーメン屋があった場所だ。いつ閉店したのか分からないが残念な思いだ。

店先に人影もなく先頭での待機かと思ったら、定刻の10分も前にオープンして先客がすでにラーメンを食べていた。うれしいハプニングで店内に入り券売機の前で濃厚そうなメニューが並ぶ中でシンプルそうなお題に味玉を追加発券してカウンターに腰を下ろす。定かではないが以前と変わらぬレイアウトの店内を見渡す。津軽推しのPOPや方言手ぬぐいが飾られた店内を本日は二名体制で回している。人通りの少ないオフィス街の土日でも営業しているのはありがたいが、集客は大変だろうなと余計な心配をしていると着席して5分ほどで我が杯が到着した。

その姿は朱赤の受け皿に乗った双喜に龍の描かれた古典的な切立丼の中で素朴な表情で出迎えてくれた。派手な要素などひとつもない穏やかな景色が丼の中で広がっている。

まずはスープをひとくち。煮干し由来の油膜も水泡も浮かんでいない液面にレンゲを落とすと、フワッとしたニボ香が揺らめく。そんな優しい香りと共にスープを口に含むと、初動では物足りなさを感じるくらいの上品さだ。よくあるパンチを効かせた煮干し系とは全く異なるニボ清湯スープだ。動物系や他の魚介系に頼らない潔さが見た目の純朴さとも一致する。決して強火で沸かさずにじっくりと抽出された旨味エキスだけがスープに残り、苦味やエグ味は排除されている。カエシの醤油ダレの塩分も雪国のラーメンとしては低めに設定してあるので、東京向けのチューニングだろうか。

麺は中細ちぢれ麺を合わせてあるが、今まで見たことがない程のちぢれの周波が短く密集した高周波ちぢれ麺だ。わずか1cm間隔の麺の中に4回も波を打った形状には驚いた。手揉みの不規則なちぢれではなく均一に見えるちぢれ具合からは機械切りのようである。箸で持ち上げると、滑らかで柔らかめの麺質だと分かる。麺の湾曲でスープの飛び散りが心配だが一気にすすり上げてみる。柔らかな口当たりだが、微かに唇が振動するのが心地よい。大きなうねりではないが小刻みなビブラートが始まりを告げる。そのビブラートは唇を過ぎて口の中へ滑り込んでくると穏やかな静寂へと変わる。ちぢれ麺特有の暴れ回るような立ち振る舞いはなく、スムーズに喉の奥へと落ちていく。それだけに歯応えの良さを楽しむよりは喉越し重視のちぢれ麺に思える。シンプルなスープに穏やかな麺の相性は良いが物足りなさも感じてしまう。

具材の豚ロースのチャーシューは大判で二枚も入っている。かなりの薄切りなので熱変化は心配だが、もともとがレアではないので食べ急ぐ必要はなく、じっくりと楽しむ事にする。引き締まった赤身の筋繊維が強めの歯応えを生んでいるが薄いマリネなので味気なさが残る。これもスープに寄せた下味なのだろうが、脂身が苦手な私でも赤身のパサつきに脂身が欲してしまった。

追加の味玉はS玉の半熟ゆで卵のままで、味玉と呼ぶには足りないと感じた。白身の表面にこそ漬けダレの色素が移っているが、味は全く乗っていない。今のところ全ての具材のキャスティングが個性的ではないのが作り手の狙いなのだろうか。この清湯野郎でもクセを求めてしまうくらいに今のところ盛り上がりがない。

メンマはチョコ色の見た目からも個性を期待してしまう。アクセント役を求めて食べてみると、見た目に反して優しい仕上がり。ハッキリした醤油感があるかと思ったが、どこまでも物静かな味付けだった。食感のキレの良さだけはアクセントになってくれた。

そんな中でも唯一の個性を発揮していたのが、薬味の白ネギだった。本来は良い意味での個性と言いたかったが、逆の意味での個性だった。粗めの小口切りは素朴さを表現しているが、白ネギの品質に疑問を抱いてしまった。全く潤いを持たない切り口からは劣化したネギの風味ばかりが出ている。乾ききった薬味は全体のバランスを崩しているように思えた。全てに切り立ては望まないが、それを維持する保存状態の良さは望んでしまう。スープと麺や具材が平穏なだけに特異なネギの香りが邪魔に感じた。

その白ネギが大量なせいもあってスープも麺も平らげずに席を立った。帰りの電車内で頭をよぎったのは、あの粗雑な白ネギも素朴さを狙ったものだとしたら仕方ないのかと思った。今までならこの白ネギでも満足とはいかないまでもうなずけたかも知れないが、最近に出会ってしまった白ネギの驚きの旨さが後を引いているのかもしれなく、出会う順番が違っていればと思ってしまった一杯でした。

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