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「チャーシューエビワンタン麺 (ミックス) ¥1550」@八雲の写真平日 晴天 11:20 先待ち3名 後待ち6名 後客12名

〝ハイソでセレブなリッチ麺めぐり〟

今週は平成最後の贅沢企画として、身を滅ぼしかねない食べ歩きをしている。もはや二千円オーバーが当たり前となってしまったが、高級中華料理店の麺部門を巡っていては確実に資金が底をつくのが目に見えてきた。なので正気を取り戻して冷静にラーメン店に狙いを絞って高級ラーメンを探してみる。すると意外にもよく行く店のハイエンドメニューに挑戦したことがないのに気が付いた。それがコチラだったのだ。

桜特需と共に散っていった人の群れがなくなり静寂を取り戻し始めた目黒川沿いを歩いて向かうとする。11時半開店前の現着を目指して11時過ぎに家を出ると、10分ほどで店先に着いた。花は散っても葉桜を楽しんでいる方もまだ多く日常の目黒川には戻っていないようだ。

すでに店先の外待ちイスにはすでに並びが発生していた。それに続いて四番手をキープしてオープンを待つ。私の経験ではオープンと同時に行列が増える傾向にあると思っているので、もし時間に余裕があれば開店前に待たれる事をお勧めする。たった15分違いで随分と待たなくてはいけない時もあるので、待ち時間がより少なくて済むと思う。

定刻より2分早くオープンとなった。目的は決まっているので券売機の前で悩むことはなく、最高額メニューのボタンを押した。さらにトッピングで増額する事も可能だが、今回は店の決めたハイエンドメニューだけにしようと思い券売機の前を離れた。

カウンターに座りいつものように店内を見渡す。いつもと変わらぬスタイリッシュな空間が広がっているが、一点だけ違った所を見つけた。それはアート作品のフレームが少しだけ傾いて曲がっていた。お客さんの肩でも当たったのだろう。正直に言うとそんな事くらいしか変わらない程に安定感のある店なのだ。特にホスピタリティに優れているわけではないが、この安定感を求めて通ってしまうのが、保守的な私の志向にも当てはまるのだと思う。

本日の客層は若者が中心ではあるが落ち着いた雰囲気の中で待っていると 2nd ロットにて着席して12分で我が杯が到着した。その姿はオリジナルの高台丼の中でハイエンドらしき圧倒する力を誇示しながらも優雅で質の高さも表現している。それは今まで食べた三千円オーバーのラーメンよりも高貴な容姿だ。その上、風格すら漂っているのは、移転のタイミングで新調された器に描かれた、オリジナルのロゴにも年季が入って薄れ始めている事も味わいを増している。センスと風格を兼ね備えた姿に期待は高まる。

本日は黒だしと白だしのミックスにしたので、朝焼けのようなオレンジ色をしたスープをひとくち。スープの表層を具材たちが覆い隠しているのでレンゲを差し込む場所を探さないとならないほどだ。そっとレンゲを入れてすくい上げたスープからは穏やかな魚介系の中でも鰹節の香りがする。いざ口に含むと、その鰹節の香りに煮干しの旨みが重なった魚介出汁が先頭に立つ。もちろん基礎には丸鶏などの動物系のベースがあればこその魚介系の香りでもある。カエシもミックスにしたので、出汁の香りが感じやすくなっているのだろう。またカエシの塩分濃度も正確無比な精密機械のようで、憎たらしいほどにブレがない。しかしこの安定感を身体も求めている事に嘘はつけない。

具材の二枚看板が本日は揃い踏みだ。フレンチでいうWメインのフルコースを意識して魚料理のエビワンタンからいただく。器のロゴデザインと雲の流れに合わせて盛り付けられたエビワンタンには気品があるが熱さは猟奇的なはずなので、海老餡の部分だけを食べてみる。とても柔らかいワンタン皮の中には、粗く叩いて海老の香りと食感を引き出して海老本来の持ち味を最大限に発揮している。余計な香辛料には頼らずに塩気と海老の持つ甘みだけでストレートに勝負している。残ったワンタン皮も素晴らしく、まさに雲を呑むような雲呑。餡なしでも十分に麺類として成立するワンタン皮だ。これが全部で6個も入っているとは先が楽しみだ。

次に肉料理でもある、もう一つの看板具材のチャーシューは大好物の広東式叉焼で通称は赤耳焼豚。本来は吊るし焼きが伝統的な調理法なのだろうが、こちらは最新鋭のスチコンを導入して仕上げられた近代的赤耳焼豚だ。豚モモ肉の赤身の引き締まった肉質が食べ応えを生んで、一片だけの脂身が甘みを与えている。表面に擦り込まれて焼き上げられた蜜ダレのフルーツ果汁のような自然の甘さも魅力のひとつだ。シャトーブリアンのように最高の部位だけを切り分けるこだわりも素晴らしい。この切り分けのこだわりが生んだ副産物の切り落としチャーシューのファンなのだが今回は追加していない。

メンマは前回に引き続き細いタイプのメンマが添えてあってうれしい。過去には極太メンマを採用している時期もあったが、個人的にはこの繊細なラーメンには不似合いだった気がしていたので、細メンマの採用には大賛成だ。細メンマには極太メンマのような大胆な食感こそないが、適度な食感のアクセントが何度も味わえるので楽しみが増えて良かった。味付けは従来と変わらないのでオリジナリティには少し欠ける。しかしそれも安定感という意味では正解かと。

薬味の青ネギは質の良い九条ねぎにしか表現できない繊細な食感と穏やかな香りが良い。名ばかりの九条ねぎの店とは比べものにならない青ネギだ。海苔はいつもの質と保存状態の良さを感じる逸品だ。ご主人の細部までのこだわりと目利きの高さがうかがい知れる。

中盤からも様々な組み合わせを楽しんでいるうちに、何が主役すらも分からなくなってきた。スープ、麺、ワンタン、チャーシュー、メンマ、九条ねぎ、海苔の全てが主役級でレベルが高い。これだけ主役クラスを集めるとケンカしてしまいそうだが、それぞれが半歩引いているのがバランスを保つ要素だろうか。気が付けば丼の底が見えていたほどに夢中で平らげていた。

完食後は満腹感よりも幸福感の方が強く感じている。当たり前の事を当たり前のように安定感を与えてくれる店への感謝の気持ちが、スープ一滴残ってない器で分かってもらえればと思う。こちらのご主人やスタッフさんたちは、過剰な接客や派手なパフォーマンスをするわけではない。これは私の勝手な想像だが、ご主人は誰かひとりを楽しませるのではなく、誰ひとりとして悲しませないポリシーを持たれている気がする。しかしその事の方が前者よりも遥かに難しいと思う。その思いの全てが味ブレの無さや、接客の平等性に表れていると感じる。スタッフさんたちもその精神を共有しているので店全体の方向性が一箇所に定まっている。

人間関係だけで美味く感じるラーメンも確かにあるとは思うが、私はそれをこの店には求めない。ここがここであり続けるなら、いつまでも真剣に向き合っていきたいと心から思える一杯でした。

投稿 | コメント (4) | このお店へのレビュー: 15件

コメント

おはようございます。
のらのらさんの最高評価点のお店ですね。
今度行きたいと思うので、おススメのメニューを教えて下さい。

不死身のてっちん♂ | 2019年4月13日 10:07

おはようございます。正直言ってガツンとくるラーメンではないので、お好みとは違うかも知れません。スープも黒だし、白だし、ミックスのどれも美味しいですし、ワンタンも肉、海老ともに秀逸です。そんな中でも最近のマイブームは何と言っても、売り切れ必至の切り落としチャーシューです。

のらのら | 2019年4月14日 10:36

最後のリッチ麺なわけですね。
こちらはまだ未食で羨ましいです!
この麺顔が一番ハイソに感じるのはなんででしょうね?
いままで食べたのは敗訴な立地麺(笑)

昭和のBecky! | 2019年4月14日 22:20

たしかにそうかも。敗訴な立地麺ですwしかも反れ部です。

のらのら | 2019年4月15日 00:49