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「4番 天神そば 玉子入り ¥850」@天神そばの写真平日 晴天 10:40 先客11名 後客4名

令和改元記念 特別企画

〝諸国麺遊記 中四国編〟の番外編

昨夜は成り行きまかせで始めたラーメン旅も中国地方の五県に留まらず、おとなり四国にまで足を伸ばして四県を無事に制覇する事ができた。レビュー二年目の最大の目標として全国制覇を目指すと決めてから幸先の良いスタートを切った二泊三日の旅だった。そんなラーメン旅が三泊四日になろうとは昨夜の高松駅では思ってもみなかった。

それは高松駅で帰りの新幹線に乗るために、ひとまず岡山駅に向かう必要があったのだ。そこで高松駅 20:43発 マリンライナー 64号 岡山行きに乗車して、真っ暗な瀬戸大橋を渡り 21:36に岡山駅に着いた。しかしすでに東京行きの新幹線は終了していたのだ。感覚的には名古屋辺りで遊んでいる感覚だったのたが、ここは神戸よりも遠い岡山なので考えてみれば当然ではある。仕方なく東京へと近づくために大阪まで向かおう思ったが未知の世界である岡山の夜のネオン街が気になってしまい、もう一泊の岡山追加滞在を決めた。

慌ててホテルを探すと、日曜日という事で空室がかなりあり駅直結のホテルをとった。さっそくチェックインすると、旅の汗と羞恥心を洗い流して夜の帳へと消えていった。

夜のお店を三軒ばかり回っていると、女の子たちから岡山の老舗ラーメン店の話を聞いた。偶然にもRDBの総合ランキングでも上位に位置しているので気になっていた事もあり、明日の新幹線の前に行ってみようと決めていたのだ。

午前三時過ぎまで呑んでいた割には快調に目覚めた翌朝に 12:20発の新幹線に間に合うように、11時開店前の現着を目指して10時すぎにチェックアウトした。一昨日の岡山で早じまいに当たってしまった時と同じ、岡山軌道線という古めかしい名前の路面電車に乗って最寄りの城下駅に着いた。すると目の前に、いかにも老舗感の溢れる赤いテント看板のコチラがあった。信号を渡り店先に着くと開店20分前で行列は無かったが様子がおかしい。何故だが店内からは賑やかな声が漏れてくる。不思議に思っていると、そんな店内から客が出てきたのだ。開いた扉の中に見えたのは満席の店内で、スタッフさんの「いらっしゃいませ」の大きな声に引き込まれるように後に続いた。勢い任せで店内には入ったものの、結局は何時にオープンしたのか分からないままだった。

入口近くで、わずかの店内待ちを経るとすぐにカウンターへと案内された。壁に書かれたメニューから品定めをするが、地元の常連客が何やら番号で注文をしている。それを真似るように先客の注文を待ってから「4番で」と告げると、大盛りは1.5倍ですよと勧められたが並盛りにとどめた。

店内を見回すと老舗の風格が満ちたラーメン旅の最後を飾るにはもってこいのロケーションだ。そんな店の中でも私が座ったのは、大女将が麺上げをする目の前の特別リングサイドだったので調理工程の全てを眺められる絶好のポジションだ。そんな大女将の熟練の手さばきをカウンター越しに見ていると、計量レードルではなく謂わゆる普通の〝お玉〟で器の中にカエシを入れると寸胴鍋からダイレクトにスープを注ぐ。たったこれだけの工程でスープは完成した。なんとも潔いではないかと感心した。大盛りには一回り大きな丼が使われているが、カエシを計るお玉は一緒なので味付けは大女将の経験と舌先だけが頼りである。そんな年季の入った作業を見ていると、着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は朱赤の雷紋柄の切立丼の中で、地方遠征に来ている事を感じさせてくれる表情で出迎えてくれた。また今回の岡山ラーメンも東京に迎合しない地方色を出していた。これは昨日までの四国では出会わなかった地元の特色を守っている信念の強さすら感じた。

まずは半濁した赤銅色のスープをひとくち。飲む前から目の前の寸胴鍋では大量の鶏ガラでスープが炊かれているので、嗅覚はすでに鶏出汁に洗脳されている。たっぷりと油膜が表層に張り詰めているが、後付けの鶏油ではなくスープ自体の油分である。そんな頑丈そうな分厚い鶏油にレンゲを押し込むと、大きく液面が波打った。それを見てもかなりの油量だと察しがつく。朝イチからオイリーなスープは避けたいと思いながら口に含むと、ダイレクトに鶏の旨みが口に広がる。オイル感もすごいが旨味も強烈だ。そこに醤油ダレの強めのアタックが加わるので、早朝からかなりのインパクトだ。呑んだ後の〆に良さそうなラーメンを朝から大勢の客人が食べている光景を見た時に、岡山県人の胃袋の力強さを感じた。

未体験の強いスープに戸惑いながら麺をいただいてみる。タイマーなどに頼らずに大女将の感覚だけで60秒ほどで麺上げされたストレート細麺は、岡山では定番の太さらしいが、これも昨夜の女の子たちからの情報だ。持ち上げた箸先からは素直なハリを感じる麺肌が現れた。そんな麺を啜ってみると鶏油が麺肌をフルコーティングしてスープを全く寄せ付けない。スープの強すぎる塩気を感じないので幸いではあるが、油と麺だけを啜っている感覚は未知の経験で驚いた。出来るだけ底の方から麺を引き上げても、スープとの馴染みが良くない。このスープ自体に含まれる油量が基本かどうかも分からないが、常にスープを火にかけて炊いているので状態にブレがあるのは仕方ない事だろう。本日は早い時間帯に訪れているので比較的サッパリしたスープと思われるが油量は多く感じた。このまま午後までスープを炊き続けると、どんな油量になるのだろうかと心配になった。しかし時々、浮いた上澄み油を調整するような作業も見えたが定かではない。

具材のチャーシューは二種類の部位を使ったこだわりが見える。仕込み方はどちらも煮豚型ではあるが、豚バラと豚モモを交互に盛り付けてあった。これまた中国地方では良く出会った硬めの食感のチャーシューだ。歯応えは良いが旨みは煮汁に取られているような味気なさを感じてしまう。豚バラの方は脂身がある分、パサつきが抑えられていて食べやすかった。

追加した玉子だが、メニューの「4番」というのが玉子入りの事だ。〝玉子〟と明記させては持論の〝味玉論〟を展開するわけにはいかず、玉子としての評価をせざるを得ない。それはもう完璧な〝ゆでたまご〟で玉子としては文句の付けようがない仕上がりだった。半熟ではないが決して茹で過ぎていないベストの茹で加減。昔からラーメンに入っていたのは、この玉子だった事を思い出した。正直、普通の玉子なのだがスープの塩気を打ち消してくれる役割も務めてくれていた。

茹でモヤシには細いモヤシが使われていたが、歯応えのアクセントとなっていた。ナルト代わりのかまぼこは色みとしては活躍していたが、ナルト同様に食べることはなかった。

薬味の青ネギも岡山ラーメンを代表する薬味らしい。これも夜の街での情報なので信憑性は定かではない。

最終的には朝イチの体調もあったので全体的に残してしまったが、旅の気分は十分に楽しめるラーメンだった。東京でも新橋や赤坂で岡山ラーメンの看板を見たことはあるが未訪問なので、いつか訪ねて岡山ラーメンを懐かしんでみたい気持ちになった。

これで今回の中四国遠征も終わりとなった。各県のラーメンの記憶も残ったが、夜のネオン街を訪れた広島 高知 岡山での女の子の方言の違いが一番の思い出となった一杯でした。

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