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「味玉 小 背脂 ふつう ¥730」@麺処 そら亭の写真日曜日 晴天 15:00 先客2名 後客2名

〝ニューオープン狙いうち〟season2

本日は紆余曲折ありの新店めぐりとなっている。前食先の府中本町で不思議な縁を感じた単勝8番のオークス馬券を購入した後に本当はレースを見届けてから連食先のコチラへと向かいたかったのだが、営業時間やスープ切れの早じまいを考えてレース観戦は諦めて府中本町駅へと戻った。

本日の二軒目に選んだのはRDBの新店情報に挙がったばかりのコチラだった。少ないお店情報を見ていると、まだオープンして二日目のようで情報量が少ないのも納得できた。そんな中でラーメンの写真を見ると不思議な親近感が湧いてきた。それは先月初旬に訪れた新潟 燕三条でのラーメンが思い浮かんだからである。こちらが燕三条系との確信など、ひとつもないままに初訪問を決めていた。

府中本町駅からは京王線に乗るために分倍河原駅まで15分ほど歩いて向かった。すると偶然にも京王八王子行きの特急に恵まれると3駅を12分で最寄りの北野駅に着いた。そこからは南口を出て駅前のパチンコ店の脇を進むと「麺」とだけ書かれた看板が目に入ってきた。しかし店先には暖簾もなく営業しているのかも分からない。店先には大きな立て看板が掛かってはいるが、パチンコ店の駐車場のフェンスの網が邪魔をして「営業中」なのか「準備中」なのか読む事が出来ない。不安なままに近づいてみると、ようやく「営業中」の文字が読みとれた。ガラスの扉越しに見える店内には客の姿もあり、まずは一安心して店内に入った。

入口右手の券売機には、味わいのある手書きのメニューボタンが気持ちを和ませてくれる。そのメニューを見た時に初めて燕三条系である事を確信した。そのメニュー構成は至ってシンプルで、麺の量と具材の追加を選ぶだけだ。あとは燕三条系の代名詞でもある背脂の量を口頭で告げるだけのシステムのようだ。連食だったので麺量は小盛りにしたが、好物の味玉入りを発券してカウンターに座り卓上の高台に食券を置いた。

ご主人おひとりで切り盛りされているので先客の調理が終わるのを待っていると、そのタイミングで背脂の量を聞かれた。背脂耐性が脆弱な身体なので「ふつう」をお願いしてから店内観察をはじめる。わずか五席のカウンターと奥座敷にはテーブルも置いてあるが、ワンオペでの対応では大変そうなレイアウトだ。客席も広くゆったりとしているが、調理場内も広めに設計してある。その分、導線も長くなるのでご主人の身体に負担がかかるだろうなと余計な心配までしてしまう。穏やかそうなご主人の心配りが店内の随所に見られる。例えばカウンターの高さであったり、厨房内の照明にも表れている。デスクワークするには高すぎるカウンターだが、ラーメンなどの麺類を食べるには抜群の高さだ。この高さによってラーメン鉢と口元の距離が近くなるので、麺をすすった時にスープの拡散が少ない。また蛍光灯の光が客の目線に入らないようにシェードが掛けられている。厨房内の採光は維持しながらも客席には優しい光となる気づかいには頭が下がる思いだ。

そんな配慮された空間で心地良く待っていると、着席して10分で我が杯が到着した。その姿は白磁に縁起の良いとされる三人唐子(さんにんからこ)の描かれた高台丼の中で〝らしさ〟を見せつけている。しかし燕三条ご当地では見かけなかった味玉を追加した事で関東寄りの景色にも見える。

まずは普通量とした背脂でも十分に液面を覆い隠したスープをひとくち。背脂の油膜を破くようにレンゲを落とし込むと濃いめの葡萄茶色のスープが現れた。それと同時に煮干しの香りが熱々の湯気とともに立ち昇ってきた。その香りを脳で感じながらスープを口に含むと軽やかな苦味を利かせた煮干しの香味が伝わってくる。表層には動物系のコクがあるが、土台には旨みの深い煮干し出汁が潜んでいた。やや強めの黒コショウのようなスパイスを感じるのがスープの特色なのだろうか。味の濃淡はリクエストしてないが基本でも優しい塩分になっているのは私にはありがたい。それでもハッキリとした輪郭があるのは焼豚の煮汁をカエシに合わせているからなのか、少ない塩気でも味がボケないスープとなっている。

麺は自家製ではなさそうだが、茹でる直前に細身のご主人が渾身の力を込めて手揉みした中太ちぢれ麺だ。タイマーに頼る事なく240秒ほどで麺上げされた麺を箸で持ち上げてみると、重量感のある加水率の高そうな麺が現れた。淡い透明感のある麺肌にスープの背脂も手伝ってキラキラと輝いて見える。また不規則な周波で縮れたウェーブも店内の照明を乱反射する。このタイプのスープとちぢれ麺は一気にすすり上げるとスープが卓上に飛び散る恐れが大きいので、穏やかに口の中に運んでみた。すると麺肌に溶け出したグルテンが滑らかさを生んでいて、口当たりの良さを強調している。そこに〝ちぢれ〟が重なる事で舌触りは良くも力強い印象を植え付ける。そんな剛麺を噛めば小麦の香りとスープの香味と塩気が相まって個性的な食感を与えてくれる。力強いが野暮ったさがないのも特徴的だ。

具材のチャーシューは豚肩ロースの煮豚型で仕上げてある。箸で触れると崩れるような柔らかさが持ち味なのだろう。豚モモ肉の歯応えを残した焼豚も魅力的だが、崩れて丼の底に溜まった肉片を見つけるのもまた楽しい。そんな宝探しをしていると崩れた焼豚以外の肉のかたまりが出てきた。それは液面に見えていた焼豚と同じ部位だが、切り落とし部分がゴロッと大きくカットされた焼豚が沈んでいたのだ。そんな大きめの角切りチャーシューの肉々しい食べごたえは、あまりにも素晴らしくて主役の焼豚を超えるほどの美味しさだった。

本来のご当地の姿ではないかもしれないが追加した味玉の出来映えにも驚いてしまった。まずは絶妙な下茹での半熟加減が、流れ出しそうな黄身をギリギリのところで保っている。それは白身の柔らかさにも反映されていて、唇だけで割れるほどだった。その柔らかさを維持する為の塩分の浸透具合も見事で、浸透圧で硬化してしまいそうな白身にも程よく浸けダレが浸みて旨みを足している。さらにはゲル化はしてないまでも黄身本来の甘みを引き立てるような味付けには感動してしまった。ひとつだけ欲を言えば、この味玉が常温以上に温めてあったなら私の〝味玉論〟に限りなく近い味玉だったはずだ。

メンマには敢えて個性を付けていないのだろうか平均的な仕上がりに思えた。言い換えれば麺の食感の邪魔をせずに適度な脇役に徹しているとも思える。

薬味の玉ねぎアッシェはコンカッセにも見える大きさに刻まれている。その大胆な口当たりからは想像もつかない優しい甘みを持った薬味となっていた。そんな玉ねぎからは微塵の辛味も感じさせずにスープや麺、焼豚にまでも寄り添ってアクセントを与えてくれた。本日の券売機の追加玉ねぎのボタンは × 印となっていたが、次回には追加したいと思えるような薬味だった。見落としがちだが熱の通った白ネギの存在も忘れてはならない薬味だ。

最終的には連食だったのでスープを飲み干す事は出来なかったが、スープの底に沈んだ焼豚や噛み切られて細かくなった麺の欠片をひとつ残らず見つけ出して平らげた。

調理中のご主人の背中に心からのお礼を言って店を後にした。帰路につく前に駅前のコーヒーショップで馬券を買ったオークスの結果を見ると、期待していた8番のダノンファンタジーは4番人気ながらも掲示板ギリギリの5着という結果だった。先程の府中本町のラーメン屋で運命を感じて買った馬券だったが見事に散って無くなった。全部のせラーメンでも軽く20杯は食べられたであろう散財を悔やんだ一杯でした。

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