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「特製真鯛白湯 (醤油) ¥900」@麺屋 鯛鯛の写真平日 曇天 11:30 先客なし 後客2名

〝ニューオープン パトロール〟

これは十日以上も前の話なのだが、早朝に発生した地震と豪雨情報によって昨日から考えていた新店めぐりを断念しようかと思ったのだが、都内でも強い揺れを感じた地震だったが交通機関も午前中には平常運転に戻っていた。そこで出発は遅くなったが新店を目指して自宅を出た。

昨夜はRDBの新店情報の中に新たな名前を見つけ詳細を調べてみるが、分かっているのは店名と所在地くらいで情報がとにかく少ない。定休日も営業時間すら分からない中での初訪問を決意するには大変な勇気が必要だったが、自宅からは遠いが乗り換えいらずとアクセスが悪くはないので東武スカイツリーライン直通の半蔵門線に乗車した。

移動の車内ではこちらの屋号の〝鯛鯛〟の二文字にラーメンの姿を想像しながら向かった。鯛干しを使った店なのか、もしくは得意ではない鮮魚系のスープなのかと期待と不安を胸に50分ほど進むと最寄りの草加駅に着いた。思い返すと草加市内のラーメン店には来た事があるが、草加駅にラーメンの為に降り立ったのは初めてだと気づいた。西口改札を出てナビの指示通りにたどり着いた店先には非常にも一週間後のオープンを知らせる貼り紙がしてあったのだ。

RDBの新店情報だけをたよりに草加まで乗り込んで来たが、まさかの誤情報だった。そこで日を改めて確かなオープン情報と他レビュアーのレビューを元に再び草加の地へと戻って来たのだったが、まさかの水漏れによる工事の為に臨時休業の貼り紙が貼られていた。十日で二度もフラれるとは何か因縁めいたものを感じて、三たび草加の駅に降り立ったのだ。

もうナビに頼らなくても道順は頭に入っているくらいに通いなれた道を進んで行き定刻の15分前に現着すると、本日はドアが半分開けられて中には人の気配も感じるので定休日や臨時休業ではなさそうだ。それを確認すると行列もないので周辺の散策に出掛けた。店のすぐ裏には立派な草加神社があり、お参りする為に大鳥居をくぐった。お参りを終えると神社の横には児童公園があり、なんと園内には蒸気機関車の C56 (通称シゴロク) が展示されていたのだ。なぜここに置かれているのか分からないが、保存状態は決して良いとは言えず残念な姿になりつつある。せっかくの公園のシンボルなので草加市も少し予算を組んで欲しいと願った。

SLを見つけて驚きと哀しさが同時に訪れた後に、再び店先へと戻った。すると定刻ちょうどのようで中からスタッフがメニュー看板を店頭に置くとオープンとなった。やっと三度目の正直となって初訪問が叶う時が来た。

店内に入ると入口右手の券売機にて本日のお題を品定めする。大まかに分けると醤油白湯か塩白湯と、つけ麺のラインナップなので迷う事なくマイスタンダードの醤油系を選んだ。不運にも二度もフラれているので、特製ボタンを押してカウンターに腰を下ろて店内観察を開始する。

妙な緊張感があるのは無音のBGMのせいだろうか。店内はカウンターだけだが、かなり広めのレイアウトとなっていて空調と換気の容量が少ないのかエアコンが全く機能していない。ただ座っているだけで汗が流れてくるような環境の店を本日は二人体制で回している。屋号から想像していた〝鯛〟のイメージからも海を思わせる、ボーダーシャツとキャスケット帽のユニフォームが店に映える。内装は流行りの白と木目を基調とした変則的なL字カウンターで清潔感があるが、やはり換気ダクトの容量不足のせいで店内にはスープの仕込みの生臭さが若干残っている。現に茹で麺機の湯気もダクトから随分と漏れて逃げているので換気がうまく出来てないのだろう。環境面は採点には考慮しないので気を落ち着かせて待っていると、着席して5分でワンロット1杯の丁寧なオペレーションにて我が杯が到着した。

その姿は、おそろいの白粉引の受け皿と玉淵丼で提供された。丼に屋号も描かれてありオリジナリティあふれる器の中で、あまり親しみのない第一印象を受けた。それは以前、錦糸町の鮮魚系で受けた衝撃が大き過ぎて、トラウマのような苦手意識が生まれてしまったからなのだ。それ以来は鮮魚系を口にしていなかったのだが、天然真鯛の名産地である徳島で食べた鯛ラーメンの美味さを知ってからは苦手意識も和らいできた。そこで本日は苦手を完全克服すべく草加までやって来たのも大きな理由なのだ。しかし見慣れない景色には戸惑ってしまったが、覚悟を決めてレンゲを手にした。

まずは丁子色のスープをひとくち。動物系の白湯のように完全に乳化を果たしていると言うよりは、半濁といった感じの穏やかそうなスープが湛えられている。液面には油膜も微かに見られるが、鯛 100%のスープとなっているので鯛由来の油分だと思われる。そんな液面にはレンゲを沈めてスープをすくい上げると、明らかに乾物を使った魚介系とは異なる鮮魚系の香りが立ち昇った。それは鯛のアラ汁や潮汁のような個性的な香りで、ラーメンのスープとして認識するには時間が必要となりそうだ。ウンチクには正直に〝愛媛県宇和海産養殖鯛〟と明記されていて、いかにも天然鯛を使用しているように謳っている他店とは違って消費者には信用できるウンチクだ。もちろん養殖鯛には配合飼料や日焼けによる問題で天然鯛には敵わないが、調理法を工夫される事で養殖鯛特有の臭みを軽減しているのだろう。そこにも潔さが感じられるのは、生姜や香味野菜などの香りでごまかさずに養殖鯛のクセと共にスープを仕上げている点だ。そんな独特のクセのある香りを伴ったスープを口に含んでみると、最初に感じたのはコラーゲンの豊かさで唇に張り付いた粘着質の強さに驚いた。ひとくち目では慣れないスープに味覚も戸惑ったが、次第にスープの個性を受け入れられるようになってきた。塩気も少し高めではあるが麺や、〆のお茶漬けとの相性を考えての設定なのだろう。口当たりのまろやかさの中に、ハッキリとした塩気が輪郭をつけているようだ。

続いて麺を持ち上げてみると、麺上げまでジャスト60秒の中細ストレート麺が現れた。麺肌にはスープの色合いに同調するような全粒粉のフスマ色が浮き出ていて、見た目にはしなやかそうに映っている。箸先の重みからも適度な加水率と思われ、しっとりとした口当たりを思いながら一気にすすり上げてみた。口先の感覚よりも先に反応したのは嗅覚の方で、すすった吸気に寄り添う鯛出汁の香りが印象強く残る。それだけに麺が主張の少ないタイプであるとも言え、口当たりや歯応えの全てが悪くないがスープの強さに押され気味に思えた。また全体的にスープの量が少ないので丼の中で麺の流れが悪くなってしまい、スープのコラーゲンと麺のグルテンが生み出したすすり心地の良さも半減してしまっていた。

具材のチャーシューは鶏ムネ肉の低温調理を極薄にスライスして山型に盛り付けてある。そのまま食べると提供温度の冷たさは気になるが、味付けは下味のソミュール液が利いているので淡白になり過ぎない。素材の鶏肉自体の品質も良いのだろうか、しっとりとしたレア感は残しながらも生っぽさを感じさせない。また燻製などの香り付けで逃げる事なく勝負されている点も素晴らしい。ほかの鮮魚系の店では、もともと生臭いスープに燻製チャーシューでフタをするといった、昔よくあった〝タバコ臭いタクシーが芳香剤でごまかす〟ような手法で逃げていると感じた事があったので、こちらの鶏チャーシューは正々堂々としていると思った。

鶏チャーシューには感心したが、ここからの具材は少し残念な仕上がりのものが多かった。鯛を謳っているだけにワンタンの餡にも鯛の身が使われていてフワッとした柔らかな食感が特徴的だが、ワンタン皮の厚みと餡の包み方による硬さが柔らかい餡の舌触りを邪魔していた。また餡にも余計な香りを付けていないので、鯛のほぐし身の魚臭さを感じてしまった。鯛本来の持ち味を活かした調理が、私には残念なワンタンとなってしまった。

特製には味玉が半個分入っていたが、私には物足りない味玉だった。メニューにも味付玉子となっているので醤油感か出汁感を味わえるものだと思っていたが、ゆで卵そのものを食べているようで味気なかった。

中太メンマは食べやすさを考慮してか短めにカットされて添えてあった。メンマの味付けには敢えて個性を削ぎ落とした平均的な味付けで、そこには店ならでは手作り感が見られなかったので汎用品なのだろうか。

薬味はいつ口にしたか覚えてないほど少量の白ネギとカイワレが添えてあった。そんな存在感のない薬味に対して、海苔とその上に乗せられた鯛のほぐし身を炙ったものは存在感を大いに発揮していた。海苔の上質な磯の香りと口溶けの良さと、ほぐし身の香ばしさがスープと一体となった時に口の中が本日最高の旨みと香りの頂点に達した。

この後も強気なスープの塩気をお冷で緩和しながら麺と具材は平らげる事が出来た。もともと少ないスープではあるが飲み干す事はできずに箸とレンゲを置いた。

周囲の方を見ると、お茶漬けセットがスタンバイされている客がいらした。普段はラーメンと炭水化物のセットを欲しない私なのだが、このスープ茶漬けに先程の海苔を合わせたならと思うと喉が鳴ってしまった一杯でした。

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