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「鶏と水 (醤油) 味玉付き ¥890」@つくばらーめん 鬼者語 -オニモノガタリ-の写真平日 晴天 10:50 先待ち10名 後待ち15名以上

〝麺遊空間いばらき 四泊五日ラーメンめぐり〟

とうとう今回の茨城遠征も五日目を迎えてしまった。もし読んでくださっている方がいるならばラー旅なのかキャ旅なのか分からないような内容になってしまっている事を申し訳なく思いながら最後の夜巡業の報告をさせていただきますが、不快な描写がありますので閲覧されない事をお勧めいたします。

昨晩は風光明媚なつくば市内とは思えぬような昔ながらのネオン街で、今回のラー旅の通算14杯目のラーメンを食べ終えて店を後にした。それから不思議な背徳感の漂う天久保地区を味わう為に、呼び込みのお兄さん方に身を任せようと小さなエリア内を徘徊してみた。しかし私のオーラに上客感が無いのだろうか、誰一人として声を掛けてこない状況が続いた。思い起こせば群馬の高崎ナイトでも同じような経験をしたのを思い出した。そんなに声をかけづらい人相なのだろうかと思ってしまうほど誰も近寄ってこない。

仕方なく案内所を探してみても、それらしき施設が見つからない。この夜のために延泊してまで、つくば市に戻って来たのが無駄になってしまう。そう思うと自然と不思議な力が湧いてきたのだ。

「こうなったら自分から声をかけるしかない」

そう思うと、勝手に身体が動いていた。目の前のいた屈強な二の腕を持つキャッチのお兄さんに「初めてなんでだけど飲めるとこない?」と尋ねると「舐◯るとこならありますよ」と、トンチンカンではあるがオーソドックスなボケが返ってきた。

さすがに自分から声をかけておいてスルーもできず、愛想笑いで濁してから本題に切り込んでみると地方感あふれる店を紹介された。店名は十数年前に日本中を席巻したギャル雑誌をインスパイアしたような店だったが、一期一会の精神で身も心も預けて行ってみる事にした。

結果を先に言えば、動物系白湯の魚粉たっぷりスープに極太麺を合わせたような店だった。簡単に説明すれば〝豚骨魚介系〟ならぬ〝ポンコツ奇怪系〟と言った太めの女性陣三人に取り囲まれた6セットだった。

なぜ6セットも延長したかというと、さすがにポッチャリ女子三人組だけに持っているラーメンの情報量が膨大で知りたい事がありすぎたのが理由だ。あまりのデータ量の多さに、思わず心の中で三人組の呼び名を決めた。

〝ラーメンデータブス〟

通釈〝RDB〟である。このRDB三人娘から聞き出した有力情報を元に茨城遠征を締めくくる候補店を飲みながら決めていたのだが、翌朝は無残にも最終日の計画が砕け散った。

というのも、見た目は別にして三人娘とラーメントークで盛り上がりすぎた昨夜は気が付けば午前3時の閉店時間を迎えていたのだ。そんな三人娘から仕入れた情報によると、偶然にも今回の茨城遠征のスタート店となった製麺所直営店の麺を仕入れた朝ラーを食べられる午前7時開店のラーメン店が近くにあると聞いた。しかし現在時刻は午前3時過ぎで朝ラーの開店までは4時間近くもあったので、三人娘のアフターの誘いを断り (ラーメン情報を聞き出したのでもう十分だ) ホテルに戻ったのだが、目が覚めると午前10時前だったのだ。すでに朝ラーは諦める時間帯なので、昨晩の〝罪と罰〟を思いながら次に仕入れた情報を頼りに訪問先を決めたのがコチラだったのだ。

すぐに移動ルートを検索したが11時開店に間に合う公共交通機関がなく、最終的にはタクシーを利用する手段を選択した。あとで考えれば、つくば駅からタクシーに乗っても距離的には変わらなかったかもしれないが、みどりの駅までTXで行ってからタクシーに乗車した。そこから 2000円程かかったが10分で店の前に辿り着いたが、そこには恐ろしげな屋号に似合わない洒落た外観の店が立っていた。

定刻の10分前と遅い現着となってしまったので、店先のウッドデッキの外待ち席には行列が出来ていた。テラスを丸く囲むように置かれたイスに座り待機を始めるが、暑さ対策のうちわや冷たい水まで設置されてあり店側の〝愛と誠〟を感じた。目の前には〝農研機構とラブホテル〟がフュージョンしている。行列の客層も夏休みなので〝若者とオジサン〟が融合状態となっている。定刻を迎える頃には行列は増え続けて20名以上になっていたが、半数近くは女性客なのには驚いた。そんな中で待っていると、店内から店主さんが丸太製のオブジェのような営業中の立て看板を持って出てきてオープンとなった。

店内に入ると入口左手の券売機から本日のお題を決めるのだが、これが今回の茨城遠征最後のラーメンになるかと思うと緊張してきた。かなり豊富なラインナップの中から最上段を飾っている〝鶏と水〟の味玉付きを発券したが、カウンター9席の一巡目は逃してしまいL字の中待ちベンチにて二次待機となった。

そこから店内観察を開始すると流行りのカフェ風の内装なのだが、他所にはない高級感と清潔感が漂っている。安っぽく見えがちなサイン色紙が飾られているが、しっかりと額装されているのでインテリアのようにも見える。また厨房内も手入れが行き届いていて、汚れがちな電動スライサーも新品のようにピカピカに輝いている。この清潔感こそが女性客を引きつける要素の一つなのだろう。そんな心地良い店内を本日は三人体制で仕切っているが、意外な事に調理を担当するのは店主さんではなく二人の女性スタッフさんだった。そこには全幅の信頼関係を感じ、女性ならではの視線が店内の雰囲気に直結しているように思えた。その間も行列をさばきながら常連客に声をかける店主さんの心づかいの現場を見ていると30分程で、ようやくカウンターへと昇格となった。先客陣は食欲旺盛な若者男子が多かったので、全員が替玉を追加注文していたので回転率が悪くなっているようだ。

二巡目でカウンターに座ると先客の退店を見計らって次なるロットの調理が始まったが、一度に五つもの丼が盛り場に並べられた時には昨日のワンロット10杯での苦い経験が頭をよぎった。あまりに多くの杯数をこなそうとすると、盛り付けの時間がかかり過ぎて麺ディションがベストの状態から離れていってしまう気がしてならないのだ。昨日はそれに当たってしまい残念な思いをしたばかりなので、今回も不安になってしまった。そうなると丁寧な盛り付け作業さえも時間がかかっているように思っていると、カウンターに着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は口縁の反った白磁の切立丼の中で、それは何とも美しい景色を見せてくれた。ラーメンにオシャレ要素を必要としない保守派の偏屈オヤジでも、息を呑むような絶景にはセンスの高さを思い知った。失礼ながら、こんな場所でハイセンスなラーメンに出会えるとは思ってなかったので正直驚いてしまった。しかし肝心なのは見た目ではないと、自身を諭してレンゲを手にとった。

まずは弁柄色のスープをひとくち。どこまでも透明感のあるスープの表層には多めの鶏油が覆いかぶさり、店内のダウンライトをキラキラと跳ね返している。そんな輝きの細部までも計算されたかのような液面にレンゲを沈めると、熱々の湯気と共に醤油の香りが立ち昇ってきた。それは出汁感よりも明確なカエシの香りで、瞬時に芳醇な空気感に包まれた。レンゲに注がれる際にもサラリと抵抗なく湛えられたスープを口に含むと、香りは醤油が主導しているが旨みは鶏出汁が主体となっている。トレンドの一つになった〝鶏と水〟を謳ったスープを飲んできた中でも、トップランクに挙げられる旨みの深さを感じる。一切の鶏臭さやクセを感じさせないクリアな味わいは、丁寧な丸鶏の下処理と徹底された温度管理が生み出したスープだろう。厨房内の奥まった場所にスープ場をレイアウトされているので、熱効率も良く空調にも影響しない考え込まれた設計をされている。そこでじっくりと炊かれたスープは、初見では多く見えた鶏油も油っぽさはなく適度なコクを加えるに留まっている。素晴らしいスープなので、どうか麺が伸びてない事を祈りながらレンゲを箸に持ち替えた。

急いで麺を持ち上げようとしたのだが、麺がスープの中で毛糸玉のように丸まっている。勝手に麺はスープにくぐらせて麺線を整えるものとばかり思っていたので、予想外の形に驚いてしまった。この美しい盛り付けをする為には必要不可欠な方法だとは思うが、自身で麺をほぐす作業が余分な作業だと思いながら麺をスープに泳がせた。しかしこの麺の盛り付け方が功を奏したのか、麺が伸びずに強いハリを残していたのだ。食べずとも箸先から伝わってきた麺の力強さには、余計な心配をして損をしたと思ってしまった。麺を混ぜた時点で盛り付けの美しさは失われてしまったが、この状態こそ麺を楽しむにはベストの状態だと確信して一気にすすり込んだ。麺上げまで50秒の中細ストレート麺からは思った通りのハードな口当たりで滑り込んできて、調理場内に積まれた黄色い麺箱の製麺所らしい力強いアタックで押し寄せてきた。伸びているどころか硬さすら感じさせる麺だが、しっかりとグルテンが加熱されているので弾力ある歯応えが楽しめる。序盤から麺を噛んでは小麦の香りを楽しんで、スープの旨みと重ねわせる繰り返しの虜になってしまった程だ。

ここまではスープと麺の組み合わせの素晴らしさに大満足していたのだが、具材のチャーシューが思いのほか好みと違っていた。部位違いで盛り付けられた二種類のチャーシューの中から鶏ムネ肉の低温調理の方を食べてみたが、低温調理の衛生基準を守ってあるのは安心できるがパサついた舌触りが意外だった。もう少しレアっぽさをアピールしてくるのかと思ったが、完全に火入れされた蒸し鶏だった。もちろん基準に満たない半ナマチャーシューよりは有難いが、少しやり過ぎではと感じた。せっかくのソミュール液の香辛料の香りも感じられない程に乾いた食感となっていた。一方の豚ロースの釜焼きチャーシューも盛り付け直前にスライスされていたが、ポソポソとした食べ応えの無さが残念だった。

そんな物足りないチャーシュー陣に対して、追加した味玉は感動レベルの仕上がりだった。常温以上での提供で、下茹での半熟加減も申し分ない。その上に漬けダレの浸透圧による黄身の熟成が引き出した旨みの濃さと、舌にまとわりつくような食感に魅了されてしまった。

薬味ではなく具材として盛り付けてある芽キャベツには保守的な反応を起こしてしまい不要に思ったのだが、食べてみると丁寧に下処理された芽キャベツの持つ苦味が軽いアクセントになってくれた。

初見では芽キャベツの上に盛り付けられていたトンブリや糸唐辛子を目視できたが、麺を混ぜた後には行方不明となってしまった。よって、いつ口に入ったのかも定かではない。

薬味の玉ねぎアッシェや青ネギはスープを飲み干す際に変化をつけてくれたが、純粋にスープの旨みを味わうには不要だったかもと思った。

それほどスープが味わい深かっただけにチャーシューの仕上がりが残念で仕方ない〝天国と地獄〟と言わないまでも〝天使と悪魔〟が共存したラーメンだったが、それを踏まえたとしても高評価は必然と思った。

今夜は都内での所用がある為に茨城遠征最後のラーメンとなってしまったが、フィナーレを飾るに相応しいラーメンに出会えた。その事には大満足ではあったが、帰りのバスがなく地方遠征の厳しさを身をもって実感した一杯でした。

投稿(更新) | コメント (5) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

RDブス!いやぁ〜返し方が上手い!そういう言い訳があったのには驚きました!
こちらの麺には驚きますよね!高さを出したいばかりに団子麺に仕立てるのも新しい発想です。
デザインやアート優先なのが凄い!食べづらく時間がかかりますが、菅野製麺なので中盤でも伸びたりしない計算高い配慮もすごいと思います。綺麗なミートスライサーは自動でしたね!
目の前で調理されるので、鶏脂とラードの量を目の辺りにしました。
個人的には薄いチャーシュも好きです。味玉もたぶん好きな出来栄えだと食べならが感じました。
こんな場所でこんな拉麺にであるなんてつくばは凄いですよね!

昭和のBecky! | 2019年8月15日 11:11

レビューを挙げる前にベキさんが行かれたと知った時は驚きましたよ。過去の写真では食用菊を散らしたパターンも見られましたが、今回は入ってなくて良かったですよ。あまりにビジュアル優先なのは苦手なものですから。しかしあの麺玉をほぐす作業は皆さんに共通する習わしみたいなものなんですね。今回のつくばもそうですが、川越や高崎など北関東にはレベルの高いエリアがあると知りました。また何処かでニアミス出来ることを願っております。今回も無駄な時間を割いていただきありがとうございましたw

のらのら | 2019年8月15日 15:21

茨城遠征ラストチョイスが鬼者語さん!
毛糸玉…初体験ですネ^^
結果、満足で良い締めくくり…良かったですね!終わりよければ…
楽しく読まさせていだきました^^

ぴろリポ | 2019年8月15日 15:55

数少ない信じられるレビュアーの方からのコメントは励みになります。ぴろさんみたいに正直だけど好感度のあるレビューがうらやましいです。私も全国制覇を果たしたら生まれ変わって真面目なレビュアーになれればと考えております。ご愛読ありがとうございました。

のらのら | 2019年8月15日 21:38

自分は素人なんで…基本、ラーメン屋さんへはリスペクトの気持ちなんです^^
直球勝負の、のらのらさんのレビューに刺激を受けているのは確かで…旨いは旨い、う〜んは???このままのスタイルでお願いします!
全国制覇…福島はすぐに行けそう?!ですけど、沖縄と海外が?!楽しみです^^

ぴろリポ | 2019年8月15日 22:20