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「八五郎醤油ラーメン ¥950」@江戸麺 熊八の写真平日 晴天 11:15 待ちなし 後客10名

〝ニューオープン 探検記〟

今回も錦糸町のサウナを拠点とした新店めぐりには抜群の新店情報をRDBの中に見つけてしまった。それが錦糸町に程近い場所で産声を上げたこちらで、お店情報を見るとオープンして5日程らしくオペレーション面に不安はあったが初訪問を決めた。

そこで昨夜も錦糸町でアジト化してきたサウナに前泊する為に錦糸町駅に降り立ったが、いつも通りにキャッチの呼びかけが散弾銃のように浴びせてくる。日本人のキャッチのお兄さんに混じって中国系の流れ弾に当たりそうになりながらも何とかくぐり抜けると、繁華街のど真ん中にあるサウナまで辿り着けた。

二時間ほど大浴場で癒された後は食事処の座布団に座り、秋のメニューとして登場した湯豆腐をつまみながら生ビールで胃袋と心も満たした。お気に入りの点が多いこのサウナだが、そのひとつに休憩処に置かれた初代ファミコンで懐かしゲームで遊ぶのも、当時に戻れる楽しみなのだ。そこで前回の「イーアルカンフー 」に続いて、ジャレコの「燃えろ‼︎プロ野球」通称〝燃えプロ〟のカセットに昔のように意味もなく息を吹きかけてからセットした。

当時の野球ゲームは横の変化球しか投げられなかったが、この〝燃えプロ〟は高低差を投げ分けられる画期的な投球システムだった。今見てもかなりの違和感のあるクネクネした投球フォームが懐かしく、当時は問題となったバントホームラン (強打者設定となっている選手はバントの構えでもバットに当たればホームランになる) を YG TEAMのクロマテ選手で狙ってみたが、昔のように上手くは打てずに年老いた自身の反射神経を実感した。さすがに現代のゲームに慣れてしまっているので画像処理の粗さや進行のテンポの単調さに、30分も遊んでいると飽きてしまった。

気が付けばとっくに深夜を過ぎていたので、再び食事処で生ビールを軽く一杯ひっかけてからベッドに入り翌日に備える事にした。今朝は午前8時にベットから出ると、朝食付きプランだったが昼の新店めぐりの為に辞退して朝風呂だけを楽しんだ。

お店情報では11時半開店となっているのでチェックアウトの時間よりも1時間も早く11時には出発したが、総武線を使わずにピンポイントで行けるバスルートがあった。サウナから徒歩4分で錦糸町駅前バス停まで行き、都バス 錦27系統 両国駅前行きに乗れば6分足らずで最寄りの緑二丁目バス停に着いた。すると目の前の交差点の角には開店祝いの花が並んだこちらの店先が見えていた。サウナを出発してここまで10分での現着とは、前乗りした効果が十分に感じられると自画自賛した。

店先に行ってみると定刻の15分前の現着となったので行列もなく先頭にて待機を始めたが、店頭の写真付きメニューで本日のお題に見当を付けると強い日差しを遮るものが何もないので少し離れた街路樹の木陰から張り込みする事にした。遠くからでも良く見える看板には〝無化調 自家製麺〟と書かれてあり安心感と不安が入り交じった思いが湧いてくる。それは〝無化調〟には大賛成なのだが〝自家製麺〟に関しては、まだまだ「餅は餅屋、麺は麺屋」の持論が払拭できないのである。それでも時おり自家製麺の素晴らしい店に当たる事が増えてはきたが、自家製麺にこだわり過ぎてスープや具材が疎かにになっている店も今だに多い。

そんな憶測を立てながらオープンを待っているが定刻になっても店先に動きがなく不思議に思っていると中から男性スタッフが現れて、いよいよオープンかと思ったらタバコを吸いに表に出て来ただけだった。店の裏側に周り込んで一服が終わると、ようやく定刻より6分遅れで営業中の立て札に裏返された。

一番手にて店内に入ると入口右手の券売機から見当を付けておいたマイスタンダードの醤油系のボタンを押す際に人気 No. 1は坦々麺となっていたが、セオリーを無視して醤油系を発券すると席の指定がないので好きなカウンターに腰を下ろして店内を物色してみる。

店内に満ちた木の匂いから内装の新しさが伝わってくるが、食事をする場所としては不要な匂いである。カウンター上に置かれたお冷のポットは前日の残りと思われ、片付けられずに放ったらかしで置かれている。開店時間が遅れているのは新店なので準備不足と思われるが、お冷などの準備よりもタバコ休憩を優先する辺りに店の真価が問われる。完全に調理場が壁の内部に閉ざされている不思議な造りで、定かではないが二人体制で回していると思われる。調理場を隔てる壁沿いのカウンターと背後のカウンターにテーブル席もある客席なので、お二人で仕切るには広すぎるとも思える。壁に貼られた写真付きメニューは移転前の森下のまま使われていて、新店舗ながらも味わいが出ている。

その他にもカウンター前の壁には大きな力士の姿絵や店内に流れるBGMは落語と、お江戸を思わせる仕掛けがあちらこちらに見られる。自家製麺を謳っているので、この大きな壁の向こうに製麺室があるのだろう。そんな事を想像しながら待っていると着席してから10分で、ようやく冷たいお冷のポットが目の前に置かれた。そこから5分待って第1ロットでの我が杯が到着した。

その姿は黒いメラミン製の受け皿に乗せられた白磁の鳴門丼の中で、遊び心を感じさせる表情を見せている。最初はカウンターの照明が暗いので陰気くさく映ったが、よく見てみると味玉の焼印などに愛くるしさを感じる。提供されてから気が付いたが〝八五郎醤油ラーメン〟というのが特製の事のようだ。かなり難解な券売機のボタン設定だったので基本の醤油ラーメンを見逃してしまったが、この豪華絢爛な盛り付けを見れば特製である事は一目瞭然で理解できた。そんな賑やかなラーメンの景色に期待を寄せてレンゲを手にした。

まずは枇杷茶色のスープをひとくち。表層には具沢山な具材陣が所狭しと並んでいるので、レンゲを落とし込む場所を探しながらスープをすくってみるが、嫌な予感がして仕方ない。スープからの湯気はおろか、丼全体から全くの熱気を感じられないのだ。いざ口に含んでみると、残念なくらいに生温いスープが唇に触れてきた。何かの間違いではないかと思ってしまうような温度に戸惑いながらも、何かしらの理由があっての温度設定なのだろうと信じて味わう事にした。液面には無秩序な大きさの香味油が浮かんでいるが、見た目通りに油っぽさはなくサッパリとした印象を感じる。鶏出汁と煮干し出汁のバランスがとれたスープに合わせるカエシの塩分も程良いだけに温度の低さが残念なのでスープを諦めてレンゲを箸に持ち替えた。

続いて麺を持ち上げてみると、どっしりとした重みが箸を持つ指先に伝わってくる。その箸先には切刃の角が丸みを帯びた形状の中太麺で、つけ麺やロングパスタを思わせる。さすがは自家製麺という事で他では見られないぽっちゃりとした麺質が独特な麺を一気にすすり上げてみると、見た目の麺質と同じく丸みのある滑らかな口当たりで滑り込んできた。ハリやコシを感じさせない麺には国産小麦の「傾奇者」や希少な「氷瀑」で打たれている割には、両者の持ち味であるモッチリとした歯応えも弱々しい。内麦ならではの香りや甘みにも乏しく、物足りなさを感じてしまう自家製麺だった。

チャーシューには鶏出汁に合わせて鶏肉で仕込まれたものが部位違いで二種類入っている。先に淡白そうな鶏ムネ肉の方から食べてみると、低温調理の特徴を活かした潤いのある舌触りが特徴的だ。惜しげもない厚切りなので食べ応えもあり、噛んだ時の下味の浸み出す感じも良い。一方の鶏モモ肉は薄味に仕込まれているので鶏肉の臭みを感じてしまうのと、香ばしさを加える為にバーナーで簡易的に付けた焼き目が焦げていて苦味ばかりが際立っていた。

味玉は S玉くらいの小さめの卵で仕込まれていて、ひよこ柄の焼印が押されている。白身の色づきも少なく、食べても普通の半熟ゆで卵と変わらない出来栄えは好みとは違っていた。その上、冷蔵庫の冷たさがキンキンに残っているので元々ぬるいスープをさらに冷ましているようだ。

海苔は十字4切で二枚も添えてありサクッとした食感と香りは素晴らしいが、薬味の白ネギは切られてから時間が経ちすぎているのか切り口が乾き切っていた。香りもなく舌触りも悪いので薬味としての役割を果たしていない不要な脇役。彩り要員の水菜は少なすぎて味や食感の印象は残っていない。

これは後から気が付いたのだが、特製と思われる「八五郎醤油ラーメン」のメニュー写真には本来ならばワンタンが入っているはずなのだが私の中には入っていなかった。移転前の森下時代の写真と思われるので現在はワンタンは入っていないのか、それともただの入れ忘れなのかは分からないが、どちらにしても早く気が付いていればスタッフさんに確認できたのにと悔やまれる内容だ。

中盤からもスープの温度は下がり続けて口にする事すら嫌になってしまい、ひと通り味見をした後は大半を残して箸とレンゲを置いてしまった。

新店と言えども移転オープンなので、ある程度は慣れたオペレーションを期待してしまった私が間違いだったようだ。普段より接客や環境面は評価の対象とはしないと決めているが、ラーメンの中に全てが現れてしまっているような残念な一杯だった。

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