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「特製鶏中華そば ¥1100」@中華そば 馨の写真平日 小雨 11:30 店内満席 中待ち1名

〝ニューオープン パトロール〟

また新たな新店情報をRDB内で見つけると、居ても立っても居られずに品川駅に向かっていた。

これは昨晩の事で、入手した新店情報が小田原とあっては前泊して初訪問しようと思い立ったのだ。そこで 19:34 品川発 こだま683号 新大阪行きに乗り込むと30分もかからずに小田原駅に降り立った。とりあえずは新幹線の車内で見つけておいた温泉付きの宿泊施設に向かい寝床の確保には成功した。

都内の温泉施設とはスケールが違う屋上露天風呂と大浴場やサウナで汗を流した後は深夜を過ぎても利用可能な食事処で、神奈川ならではの工場直送の生ビールを楽しんだ。黒ビールの生が飲めるのは珍しいのでハーフ&ハーフにして飲んだり、そのままの黒ビールを日付が変わるまで楽しんだ。深夜のフードメニューにもラーメンがあったが、ここは自粛して仮眠室で眠りに就いた。

翌朝は快適に目覚めると小田原観光には目もくれず、11時半オープン前の現着を目指して温泉施設を出発した。歩いて向かうと20分近くかかるようなので、小雨が降っている事もありバスルートを利用する事にした。観光客で賑わいのある東口とは違い、地元の方の利用が多そうな西口から伊豆箱根バス 佐伯眼科行きという個人病院の名前が終点となっているローカルバスにて揺られること3分で最寄りの荻窪西バス停に着いた。このとき小田原にも荻窪がある事を初めて知ったが本当にバスに乗る意味があったのだろうかとルート検索を疑った。そこからは歩いて店を目指したが、より近いバス停もあったので別ルートの方が良かったみたいだ。バス停からは小田原市役所を大きく迂回するように歩いて行くと「ラーメン」とだけ赤文字で書かれた以前の店のものと思われる看板が見えてきた。明らかに観光地の小田原でなく、地元客優先の立地にも店主さんの強いこだわりが見られる。店先に近づくと開店祝いの花が雨に打たれて並んでいて、すでに店はオープンしており店内は満席となっていた。雨の中だったので少し早開けだったのだろうと思うと、店の心づかいが伝わってきた。

店内に入ると入口左手の券売機にて本日のお題を決めるが、開店しばらくは中華そばだけに絞ったメニューとなっていた。せっかく小田原まで足を伸ばしたのでハイエンドメニューの特製を発券して、三席だけある中待ちイスの二番目に座り店内を見渡してみる。外看板などからも居抜き物件と思われるが、新しく改装されていて清潔感があり居心地は良さそうだ。一直線ではなく構造上の都合で段違いに設置されたカウンターだけの店内を店主さんお一人で切り盛りされており、お冷などはセルフスタイルとなっている。調理場内に目を向けると新しい厨房機器や使い込まれた中古品などが入り混じった、開店資金を節約されているのが分かる。しかし直接客の口に入る食材を扱う電動スライサーなどの機材には新品が使われている辺りにも、ご主人のこだわりが表れている。それとは逆にガス台などには中古品で揃えてあり、その上に置かれた寸胴鍋の中では丸鶏や胴ガラなどが温度計で一定温度を守られて沸騰する事なくじっくりとスープが炊かれている。ご主人のこだわりは提供する器にも表れていた。今や器を温めるのは常識ともなってきたが茹で麺機の蒸気で温める店が多い中で、わざわざ大鍋で湯を沸かして器専用の湯煎で温めているのだ。これならば器がベタつくような事がないので最善の方法だと思った。そんな細やかな気配りに期待を大きくしていると、20分の中待ち待機を経てカウンターに昇格した。

セルフで水を汲んでから、卓台に食券を置くと店主さん渾身の調理が始まった。一度に大量生産をせずワンロット2杯を確実に仕上げていくスタイルで出来上がった我が杯が、着席して6分で到着した。その姿はシャープな切立丼の中で、最近よく見かける流行りの容姿でお目見えした。その姿を見た時に直感的に味の想像がついてしまい、初対面の楽しみを半減させてしまっているのが少し残念でもある。言い換えれば、それだけ鶏清湯のジャンルが広まった証でもあるのだ。もしかしたら見た目の予想を裏切ってくれるかもと期待しながらレンゲを手にした。

まずは赤銅色のスープをひとくち。醤油の色素を強く打ち出してはいるが、さすがに丁寧に炊かれたスープの透明感は美しく澄み切っている。そんなクリアなスープの液面には 20cc程と多めの鶏油が覆い隠していて、香りや湯気を閉じ込めている。そんな厚手な油膜をレンゲで破ると、醤油のキレのある香りが立ち昇ってきた。シャープにも感じる香りの中でスープを口に含むと、予想していた味わいとは少しだけ違った印象を受けた。鶏出汁の甘みやコクが先行する鶏清湯スープかと思ったが、どちらかといえば醤油ダレがキレと酸味を主張している。確かに丸鶏の旨みも強いがカエシが絶妙なバランスをとっているのでクドくない味わいに仕上がっている。甘みと酸味が折り重なる事で、スープが一辺倒にならずに複雑に感じられる。

多くの鶏油で口内に油膜が張り巡らされた所に麺を追いかけてみようと箸で持ち上げてみると、黄色みを帯びた切刃のエッジが微かに残る中細ストレート麺が現れた。麺上げまで100秒の麺を持つ箸先からは適度な重みが伝わってくるので、加水率は高くもなく低くもない平均的と感じとった。そんな麺を一気にすすり上げると麺肌にはグルテンが溶け始めて柔らかさを表現して、芯の部分にはコシの強さも感じられる二層構造的な麺質が特徴的だ。鶏油が潤滑油となって勢いよく滑り込んできた麺を噛みつぶすと、小麦の甘みが弾けてスープの塩気と酸味がスパイラルとなって昇天する。良くあると言ってしまえばそうではあるが、この安定感のある組み合わせは認めざるを得ないのも確かだ。

具材のチャーシューは二種類が切り立てにこだわって盛り付けてあった。一切の切り置きをせずにロット毎にスライスされた豚肩ロースの低温調理は、あまりの大判にも驚いたが厚みを持たせたスライスには更に驚いた。惜しげも無く分厚くスライスされたチャーシューを思い切り頬張ってみると、圧倒的な食べ応えとなってチャーシューではなく別の豚肉料理を食べているようだった。味付けは控えめなので物足りなさもあったが、豚肉本来の質が良いので獣臭さは出ておらず食べる事ができた。低温調理と言ってもレア感はなく、きちんと温度管理された安心できる仕上がりでもあった。一方の鶏ムネ肉も低温調理が施されていて、こちらは少しレア感があったが下味のソミュール液に使われたローズマリーなどの香辛料の香りが生っぽさを軽減して生ハムのような作りとなっていた。レアチャーシューならではのしっとりした舌触りが上手く引き出されていて、厚切りのカットも歯応えを良くしていた。

ワンタンは鶏肉餡が柔らかさが特徴的ではあったが、肉餡の劣化を避ける為に仕込んでから冷凍管理して保存されているようだ。なので今回分のワンタンは肉餡にギリギリ火が入ってない半生の状態で提供されていたのが残念だった。すぐに口から出してスープの中で再加熱して難を逃れたが、これには伏線とも言える理由があったのだ。実は写真からも分かるようにワンタンが最初は一個しか入っておらず、後から別皿で提供されたものが二つあったのだ。その後から追加されたワンタンを先に食べたのでオペレーションの手違いで店主さんが慌てて茹でられたのだと思うが、少し茹で時間が足りずにこの結果となってしまったのだろう。オペレーションのミスと言うよりは、もしかしたら冷凍によってワンタン皮のコシが弱くなって破けてしまったのだと思うが今回はイレギュラーなワンタンに当たってしまったようだ。それでもしっかりと熱を通したワンタンからは適度な香味野菜や中華香辛料の香りが個性的な肉餡となって支えている。やはりワンタン皮は溶けるほどに柔らかすぎたので喉越しとしては良いとは言えないのが本音だ。

味玉は黄身の半熟具合は平均的だが、白身の柔らかさには驚いた。もしや黄身よりも柔らかな白身の味玉には出会った事がなく、どんな調理方法で仕込まれた味玉なのか大変気になった。柔らかさでは申し分ないが、食べやすさの面では箸で割った瞬間に白身が崩れてしまいスープの中でバラバラになったのには困ってしまった。

メンマは穂先メンマで仕込まれていてスープの醤油感の強さに反して薄味となっていた。適度な発酵臭を残しながら、柔らかくも麻竹の繊維を感じさせては消えていく食感は面白いアクセント役を演じてくれた。

薬味は潔く青ネギの小口切りだけどシンプルになっている。不思議と香りを感じられず青ネギらしさは出てなかった。また舌触りも乾燥気味で違和感が残った。

中盤からも麺の食べ心地の良さで完食したが、ワンタンの不具合などがあったので採点は下がってしまった。もし全てがベストの状態だったならば80点オーバーは間違いないはずだった。食べ終えて席を立つ時にも、雨の中でも客入りが続いていたので地元の期待の大きさを感じながら店を後にした。

ちょうど良い帰りのバスがなくて、小田原駅まで歩いて帰る道の途中でも、観光地の海側の顔とは違った生活感のある山側の雰囲気を味わいながら20分かけて歩いて帰る事になった一杯でした。

投稿 | コメント (2) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

ちょっと見ないと小田原までパトロールだったのですか!
麺の切刃とかワンタンの餡とか至って細かい!でも冷凍を出す麺屋ってあるのですか?
麺活後の徒歩20分は辛いですよね。
以前、鹿児島で宿泊が見つからずにサウナで泊まることになったのですが、
そこのバーで他の客と話をしながら深夜まで飲んだ覚えがあります。
予定外の行動って不安は多いですが楽しいことも多いですよね。

昭和のBecky! | 2019年7月21日 14:23

小田原くらいなら隣り町の感覚となってきました。生で時間が経ったワンタンなら冷凍管理してある方が安心です。鹿児島駅前の左手にサウナありますよね。偶然の出会いって楽しいものですよね。そんな出会いを求めてこれからも旅を続けていきたいと思います。

のらのら | 2019年7月22日 09:17